「農民」記事データベース20080211-815-02

中国ギョーザ事件の全容を
究明し、抜本的な安全対策を

二〇〇八年二月一日 農民運動全国連合会が談話


、中国製の冷凍餃子(ギョーザ)による中毒事件は、これまでに体調不良を訴えた人が三十八都道府県で五百人を超えるなど、輸入食品を原因としたみぞうの事件となっている。農民連は、被害にあわれた方々に心からお見舞い申し上げます。

、事件は、食料の六一%を輸入に依存している日本の検疫体制や食品安全体制のぜい弱さにあり、政府の責任は重大である。

 重大な健康被害が発生していたにもかかわらず、厚生労働省が当該製品や同一の製品の輸入と販売の中止を指示したのは一カ月後である。このずさんな対応によって被害が拡大したことは明らかである。

 そもそも、問題の製品は検疫所で残留農薬検査を受けていないものである。これは、国民の強い要求や農民連・食健連などの運動によって、〇六年以降、輸入冷凍加工食品についても残留農薬検査対象になったにもかかわらず、厚生労働省は「加工食品はいくつもの原材料を使っているために汚染の特定と基準の設定が難しい」という理由で検査対象から除外しているため、膨大な量の冷凍加工食品が野放しにされていることに起因するものである。しかし、検査をしていれば、汚染材料の特定は難しいとしても、残留農薬は検出できたはずである。

 このため、年間二百万件近い食品輸入の届け出(〇七年度)のうち、残留農薬の検査は二万六千件余にとどまり、それも一部のモニタリング(抽出)検査であるため、検査は輸入食品の三〜一〇%、全国三十カ所にある検疫所の食品安全監視員はわずか三百三十四名にすぎない。

、多くの国民が不安を募らせ、真相の解明を求めているにもかかわらず、今回の事件にかかわる情報が公開されていないことは許されない。農民連は、事件の全容を一刻も早く公表することを要求する。

 農民連は、厚生労働省に対して一貫して加工冷凍食品を検査対象とすることを要求してきた。政府は、今回の事件を深く反省し、冷凍加工食品を含むすべての輸入農産物の検査体制を抜本的に見直すことを要求する。

 今回の事件は、食料自給率が三九%の日本の国民が置かれている事態の深刻さを浮き彫りにしている。国際的に穀物相場の高騰が続き、食料品価格の値上げも相次ぎ、食料を輸入に依存することができない状況が広がっている。また、地球温暖化防止の観点からも、国内での農産物の生産拡大と食料自給率の向上は待ったなしである。食の安全確保は、これらの問題と一体不可分である。

 農民連は、政府に対して、万全な食の安全対策と食料の外国依存政策を見直すことを強く要求するとともに、引き続き、生産の拡大と食料自給率の向上に全力をあげるものである。

   二〇〇八年二月一日

農民運動全国連合会会長   白石 淳一
農民連食品分析センター所長 石黒 昌孝

(新聞「農民」2008.2.11付)
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2008年2月

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