「農民」記事データベース20080204-814-09

2人のキューピッドは朝市の新鮮な野菜たち

うふふふ。ラブラブで〜す

奈良県農民連北和センター
乾 嘉一さん  高橋ゆきさん

 奈良県農民連北和センター組合員の乾嘉一(いぬいよしかず)さん(47)、高橋ゆきさん(38)が昨年十月、めでたく結婚しました。農民連の活動を通じて知り合い、愛をはぐくんできた二人。組合員同士の結婚は、北和センター発足以来の第一号! 「うふふ。ラブラブです」(ゆきさん)と幸せいっぱいに寄り添う二人の姿が、北和センターにひと足もふた足も早い春風を吹かせています。


ひと足もふた足も早く春風吹かす

 農業への思い熱い彼

 奈良県天理市の中山間地そのものという集落で、水稲とホウレンソウなど多品目の野菜を育てる専業農家の嘉一さん。「農業には、お金や物質でははかれない豊かさがある。農村には子どもたちに伝えたい文化もある」と、農業への思いは熱い。イノシシ被害と格闘しながら、周囲の雑木林の落ち葉で作ったたい肥など有機・無農薬栽培にこだわり、北和センターの朝市などに出荷しています。

 二人のキューピッドがまさにこの朝市の野菜たちでした。「朝市に出てくる有機無農薬の野菜は嘉一さんのものが多くて、どういう人なのかな、と前から思っていました。(会ってみて)ああ、この人があの巨大なホウレンソウの人かと(笑)。誇りをもって、一生懸命農業する姿がいいな、私もこういう農業がやりたいな、と思って…」というゆきさん。

 食べることが大好きな彼女

 天理市内で玄米菜食の飲食店を営むゆきさんは、食べることが大好き。サラリーマン家庭の育ちながら、子ども時代に近所の農家に分けてもらった野菜のおいしさが忘れられず、OL生活や海外生活を経て、三年前に今のお店を開店しました。お店では、農民連の野菜も大活躍。お店主催で学習会を開くなど、食と農を守る地域情報センターの役割も果たしています。嘉一さんも、北和センターだよりに載ったこの学習会のお誘い記事を見て参加。初対面となったのでした。

 「結婚した今だから言えるんやけど…」と頭をかきながら、「ボクの生き方をわかってくれる人にいつか必ず出会えると思っていた」といきいきと語る嘉一さん。「農業に誇りをなくして後ろめたく思うのでなく、さまざまな活動に出て行って、自分が大事だと思うことを、自信をもって話すことが大切だと思う」という言葉には重みがあります。

 農家の新婚生活を満喫中

 結婚後は嘉一さんの実家に同居し、ゆきさんはお店も続けながら、農作業も手伝っています。嘉一さんが「この人(ゆきさん)はのんびりしてるのに、びっくりするほど好奇心が強い」と言うとおり、毛嫌いされることが多い農家生活も、ゆきさんは丸ごと満喫中。「せっかく農家のお嫁さんになるんやし、しきたりや農家の生活に入っていくのも楽しそうやと。おばあちゃんやお母さんから教えてもらうことは知恵が詰まっていて、本当に面白いです」とにっこり。

 「加工をやりたい」「原木シイタケもやりたい」「有機農業の技術を確立したい」「子どもができたら、収入も必要やね」――口をそろえて「明るい展望を持って生きていける」という二人。北和センターの仲間たちから贈られたおそろいのツナギ姿が、とってもステキでした。

(新聞「農民」2008.2.4付)
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2008年2月

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