「農民」記事データベース20080128-813-13

新規就農支援・遊休農地活用

奈良県農民連が相談窓口

 「遊休農地対策はつまるところ、地域でものづくりする人をどうやって育てるかだ」――奈良県明日香村では、農民連が窓口となって、新規就農の支援相談と遊休農地対策に取り組んでいます。


新しい担い手に
農地(遊休地)紹介し就農後の手助けまで

 一番困難な所に手を入れたい

地図 キトラ古墳、高松塚古墳など数多くの歴史的遺産の里として知られる明日香村。村をあげて棚田トラストなど農業振興に取り組み、今では農業や里山と歴史的遺構とが混然一体となったのどかな農村景観も広く知られるようになりました。

 しかしそんな明日香村でも、農家の高齢化、担い手不足による耕作放棄地の拡大は進んでいます。「荒れた山が目に見えてきれいになれば、高齢化であきらめが広がっていた地域でも“なんとかしよう”と雰囲気が変わる。このあきらめの雰囲気を変えたい」――奈良県農民連で遊休農地対策と、新規就農支援に取り組む森本吉秀副会長はこう言います。

 明日香村では、農民連など地域住民の長い運動で、明日香村地域振興公社(通称・あすか夢耕社)が、直売所事業や作業受委託、農産加工の推進、基盤整備事業などなど多面的な農業振興策に取り組んでいますが、森本さんいわく「まだまだお役所仕事」。

 「もっと、担い手不足や荒廃農地の拡大など一番困難な所に手を入れたい」――二〇〇六年、森本さんを含む農家・元公務員など十一人は農事組合法人「一穀(いっこく)あすか」を発足。消費者・非農家も体験農業に巻き込んで、遊休農地の活用・再生に踏み出しました。遊休農地の地主と相談して利用権を設定するなど、農家からの信頼なしではできない事業も「一穀あすか」の柱です。

 一つ一つ親身になって相談に

 一方で、新規就農の支援策はというと、農水省は言うに及ばず県や自治体でもほとんどないのが現状です。まして農地を紹介してくれる窓口や、就農後の支援など、もっとも必要とする支援をしてくれる所がない、というのが就農希望者の悩みとなっています。

 その窓口を、農民連の森本さんが担って「一穀あすか」がプールしている遊休農地や、あすか夢耕社の事業なども活用しながら新規就農の支援に取り組んでいるのです。

 森本さんのもとには、情報を聞きつけたさまざまな就農希望者が訪れます。その一つ一つに親身になって相談に乗り、時には厳しい忠告もしながら奔走する森本さん。「就農者も地主もいろいろな人がいる。ガッツも展望もある若者でも就農後、必ず助けの必要な時がある。マッチングや就農後の支援という仕事は、柔軟性と信頼が命。まさに農民連の出番」と言います。

(新聞「農民」2008.1.28付)
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2008年1月

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