南米・ボリビア駐日大使
自主・民主の国づくり語る
農民・先住民など貧困層を尊重
平和・民主・革新の日本をめざす東京の会(東京革新懇)と東京都アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会(東京AALA)は〇七年十二月十三日、南米・ボリビア共和国の駐日大使、安次嶺(あしみね)正勝ハイメ氏を迎えた学習会を都内で開きました。
日系二世の安次嶺氏は、スペイン語のほか日本語も交えて、ボリビア革命の精神と社会主義の考え方について説明。新生ボリビアが、憲法の権利を自由に行使できる新しい主権をもった国として、生まれ変わったと指摘したうえで、「農民や先住民など最も貧困な階級の理念を尊重し、国の運営の中心に考えている」とのべました。
また農業改革にも力を入れ、農業を持続的なものにし、生産を活性化するために土地の公正な分配と農業の機械化を進めていると紹介。「われわれは自然の一部であり、国民の生活が自然と調和したものでなければならない」と位置づけ、自然との共生を重視していると語りました。
さらに、より安寧で恵まれた生活を送るためにも、環境との調和を目指して、二酸化炭素の削減、有害物質発生の抑制を義務づけ、生活の目的を再検討する必要性を強調しました。
ボリビア共和国とは
日本の三倍の面積を誇るボリビア共和国は、南米大陸の中央部に位置し、アンデスの高原地帯と熱帯密林平原地帯からなる標高差が激しい国。九百四十万人の人口のなかで、先住民が約六割を占めます。〇五年末に社会主義運動(MAS)の党首で、先住民出身のエボ・モラレス氏が大統領に当選。新自由主義政策からの転換、天然資源の国有化、貧困問題の解決を掲げています。首都は、法律上スクレ。政府所在地はラパス。
ボリビア新憲法案に食糧主権盛り込まれる
ボリビアでは十二月、新憲法案に、食糧主権規定が盛り込まれました。
憲法や農業法に食糧主権が規定されるのはマリ、ネパールなどに続くもので、なかでもボリビア憲法案は最も首尾一貫したものだと言われています。
最も基本的な人権の章のなかでは「すべての人は水と食糧に対する権利を有する」(一六条)とうたわれ、外交交渉のなかでも、食糧主権の原則を位置づけるよう求めています(二五六条)。
また国家の経済組織形態も「経済面での民主主義と国民の食糧主権の達成を促進する」(三一〇条)よう定められ、持続可能で全面的な農村開発のために、「国家は、食糧の安全保障と食糧主権に比重を置」く(四〇四条)こと、「ボリビア国内の農業によって生産された食糧と生産の消費を優先し、食糧主権およびその安全を保障する」(四〇六条)ことを規定しています。
(新聞「農民」2008.1.28付)
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