「農民」記事データベース20080121-812-13

旬の味


 “農場をゆけば賢治の同僚になりて春風を受ける心地す”「前奏曲」(本の泉社)―農業生産と自然のすばらしさを生涯かけて生き抜いた宮沢賢治と同僚となった喜びを歌にしたのは、埼玉県の中学校や高校で国語教師を勤めた下村すみよさん。この歌は農業高校に赴任したときに詠まれたものだ▼そのすみよさんが退職して、誰でも楽しく短歌を創作してもらおうと、このたび「レッツ短歌」(生活ジャーナル社)を発刊した。その中で「歌は平等無差別なり、歌の上に老少も貴賎も之無候」と記し、歌の前では何人も平等と権威におもねらない子規の思いに触れている。そしてこの本は、農業破壊の政治と格闘し奮闘している多くの人に、今を生きる証しとして三十一文字を詠む楽しさを教えてくれる▼「前奏曲」におさめられた“九条の英文入りバンダナをきりりと締めよ娘と息子”“ブランコは宇宙へ旅立つプレリュード漕げば地球の丸みに背く”という歌が好きだ。目の前が広がり、清々した気分にさせてくれる。

(慎)

(新聞「農民」2008.1.21付)
ライン

2008年1月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2008, 農民運動全国連合会