“強権的な減反”を復活
米減らしの異常なキャンペーン
“強制”やめ、自給率向上こそ
「緊急対策」で米価下げ止まったが…
〇七年産の米価暴落では、農民連を先頭にした運動で、政府に備蓄米の買い増しや政府米の売渡し中止などを内容とする「緊急対策」を打ち出させました。
しかし、「緊急対策」で米価は下げ止まりましたが、政府は次年度以降、備蓄米を市場に放出するとしており、米の生産と国民への安定供給という課題にはこたえるものにはなっていません。
さらに重大なことは、「緊急対策」で生産調整の厳格な実施を打ち出し、未達成の都道府県や地域に「補助金などの採択や配分について考慮する」として、強権的な減反押し付けを復活させる方針を打ち出していることです。
過剰作付けにペナルティ
農水省は十二月五日、〇八年産米の生産量を八百十五万トンとし、都道府県別の減反目標面積を発表しました。その内容は、前年産を“過剰”に作付けした千葉県や福島県など二十七府県に対してペナルティ分(五万トン程度)を上乗せし、県間の面積調整では「産地づくり交付金」を県間でやりとりする制度を導入。転作を増やす県には、交付金をトン当たり十一万円増やし、逆に米の生産を増やす県には四万円を下限に交付金を減らすというものです。
さらに十二月二十一日に発表した「当面の生産調整の進め方」では、「生産調整目標の達成に向けて考えられるあらゆる措置を講じる」など四項目にわたる「合意書」に、JA全中や全農など関係八団体のトップと農水省の総合食料局長が連名で署名しています(別紙)。こうしたやり方は、四十年近くにわたる減反の歴史のなかでも例のない、まさに異常な「米減らし・余剰米撲滅キャンペーン」です。
食糧法さえもふみにじる違法行為
そもそも政府が国民の反対を無視して制定した食糧法は、生産調整は農業者・農業団体が主体的に取り組み、国などの行政は運用上の助言・指導などの支援を行うものとしており、“血判状”ともいえる合意書などによる強権減反は食糧法さえも踏みにじる違法行為です。
いま世界は、カネを出せばいつでも食糧を輸入できる状況にはありません。わずかな米の「過剰」を目の敵にして最良な生産基盤である水田を破壊することは許されません。強権減反を中止し、転作への充分な支援措置を講じて自給率を向上させる方向に誘導するなどの政策転換が求められています。
(新聞「農民」2008.1.21付)
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