「農民」記事データベース20080121-812-01

母ちゃんパワーで
農村も農業も元気に

秋田フォーラムで実践報告

 「母ちゃんたちの力で農村と農業を盛り上げよう」―農民や研究者などでつくる秋田農村問題研究会が、「地域を変える女性起業」と題したフォーラムを昨年12月、秋田市で開きました。―元気な母ちゃんたちの実践報告です。


三種町・全国初のJA型コンビニ
「JAンビニANN・AN」
大館市・体験交流型直売所
「陽気な母さんの店」

ユニークなお店たち上げ

地元の農産物を使って持ち前の料理のウデ発揮

 「陽気な母さんの店」の挑戦

 大館市で体験交流型直売所「陽気な母さんの店」を運営している石垣一子さん(友の会副会長)は「さびれていく農村、疲れている父ちゃんたち。元気にさせるには、女性たちの力が必要」と呼びかけ、二〇〇一年四月、八十八人の主婦(一人三万円出資)で体験交流型の直売所を開店しました。

 ここは「農業に対する思いが強い母ちゃんたちの集まり」です。“すそもの”と呼ばれる形が悪く商品にならない野菜などの農産物をたくみに調理する母ちゃんたちが作った総菜などの加工品。小中学校の給食に食材を提供し、福祉施設にも毎日三食、新鮮で安全な野菜やくだものを届けます。きりたんぽやそば打ち、漬物づくりといった料理体験教室も行い、最近では市内の商店街の空き店舗を使った「出張販売」も。

 当初、父ちゃんたちから「ぜったい無理だ。やめれ」と言われましたが、売り上げは年間二億円近くにまで成長しました。石垣さんは「地域活性化の拠点になるようにがんばりたい」と意欲を語っています。

 食の安全を足元から〜JAンビニANN・AN(じゃんびに・あんあん)

 全国初のJA型コンビニを立ち上げたのが、三種町にある「JAンビニANN・AN」です。JA秋田やまもとの泉牧子さん(営農生活部ふれあい課長)は、大型スーパーの影響でAコープが閉鎖し、「逆境をチャンスに変えよう。夢のある事業に託そうと、地産地消と地域密着をキーワードに、JA女性部が運営するコンビニを〇七年三月に開業した」と話しました。

 食材はすべて地元の農産物で、手作りの弁当やおにぎり、米粉パンなどは「ほかのコンビニ弁当と比べて安心」と好評で、一日の売り上げは当初目標より十万円近く上回っています。また、高齢者向けに弁当の配達や買い物代行サービスも行い、三十戸余りが利用しています。この店で評判なのがあきたこまちで作った“米ワッサン”。販売と同時に完売するほどの人気商品です。

 そして、もう一つの特徴がグランママシスターズ(伝統食名人)です。JAが委嘱したグランママ=おばあちゃんたちが学校で“おふくろの味”を教えたり、弁当のレシピや食材を提案したりしているそうです。

 泉さんは「物おじしない農家のお母ちゃんたちが、コミュニケーションと料理の腕前でユニークなコンビニを生みました。元気な女性たちの陰で男性がおとなしい。今度は、男性が元気になる何かを考えなくては」と話しました。

(新聞「農民」2008.1.21付)
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2008年1月

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