「農民」記事データベース20080114-811-07

国際穀物フォーラム

世界の穀物が一段とひっ迫

バイオ燃料は検証が必要


 世界の穀物の現状を語り合う国際穀物フォーラムが〇七年十二月五日、都内で開かれました(写真〈写真はありません〉)。主催は農水、外務両省、国際穀物理事会。

 基調講演では、アメリカ農務省のマーク・キーナム農務次官が主要穀物を例に、需給がひっ迫した状態が続くと予測。バイオ燃料の拡大に対応するためにも、生産力のアップで応えたいと強調しました。バイオ燃料を「農家にも恩恵をもたらし、二十一世紀の農業を大きく変えるもの」と位置づけ、遺伝子組み換え作物の栽培をさらに伸ばす姿勢を示しました。

 中国国務院発展研究センター農村経済研究部の徐小青副部長は、小麦の作付けは減っているものの、エタノール用のトウモロコシの生産は増え続けるなか、政府は、エタノール生産をこれ以上増やさない方針に転換したと報告し、中長期の需給に影響を与える要因として、人口増や土地の問題、減りつづける農業労働力について懸念を表明しました。

 丸紅経済研究所の柴田明夫所長は、世界の食糧需給のひっ迫傾向が強まり、在庫も七〇年代初めの水準にまで落ち込むとの見通しを示しました。

 その背景には、中国の経済発展の加速がもたらした食生活の変化があると指摘。世界の食糧需給は、小麦、米、トウモロコシ、ポテト、大豆など数種で全生産量の過半を占めるなど、特定の作物に依存することになるとともに、生産効率をあげるために遺伝子組み換え作物の作付けが増えるとの懸念を表明しました。

 さらにバイオ燃料の急増で、国家間、市場間(エネルギーと食料)、農業と工業(水と土)の三つの争奪戦が起きると警鐘を鳴らしました。

 討論で、アメリカ穀物協会代表は、エタノール生産の収益が鈍っているために、精製所の稼動停止や生産が減退している事例を紹介。FAO(国連食糧農業機関)の横山光弘・日本事務所長は、バイオ燃料について「製造過程での環境への負荷、途上国の経済への影響、食料安全保障の面からみたらどうかなど、きちんとした検証をするべきだ」とのべました。

(新聞「農民」2008.1.14付)
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2008年1月

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