農業青年のネットワーク広げようヨ
埼玉に青年部が誕生
地域で集まれる場がほしいなぁ
関連/前向きに 今年も頑張ろうね。
埼玉に青年部が誕生!―埼玉県内の農業青年四人が呼びかけ人となって、埼玉県農民連の青年部が十二月八日、設立総会を開きました。呼びかけ人は、鈴木美穂子さん(本庄市・野菜)、原直樹さん(春日部市・米)、国分唯史さん(東松山市・肉牛)、小林育美さん(深谷市・野菜)。
設立総会では、全国食健連事務局次長の上山興士さんが、参議院選挙後の情勢について講演。県内に農業青年のネットワークを広げることや、地域で農業青年が集まれる場を作っていくことなど、今後の活動を話し合いました。
部長には鈴木美穂子さん、副部長には原直樹さんが選出されました。夫婦で新規就農して八年目、野菜を四ヘクタール耕作している鈴木美穂子さんは「我が家では、新規就農を目指す青年を研修生として受け入れていて、地域でも農業青年が集まる場があればいいなと思っています。農作業はたいへんですが、できることをしていきたいです」と抱負を述べています。
原 直樹さん(31)=春日部市稲作農家
農業のいいところはねえ
家族とご飯が食べられて
子どもの成長も見守れる
でも低米価じゃぁ つらい
大きい!ピカピカだ!――購入したばかりの八十馬力の大型トラクターに乗って颯爽(さっそう)と現れた原直樹さん(31)。春日部市で水稲二十ヘクタールを耕作する青年農業者です。「いやぁ、オール借金です。本当に僕のものになったのは、ハンドルくらいかな。でも作業効率や燃費を考えて、これも合理化の一つと思って」
トラック運転手だった原さんが就農したのは、今から六年前、二十五歳の時でした。「家に帰ることもままならない労働条件で、いつ死んでも不思議でなかった」生活のなかで、家業である農業への思いが少しずつ変わっていきました。学生時代に知り合った奥さんとの結婚と前後するように就農。一年目はお父さんの後に付いて農作業を覚え、二年目から徐々に経営の移譲を進め、六年目の今は経営主体を担っています。
「農業のいいところは、人間らしい生活ができる。作業時間を自分で段取りできるから、家族とご飯も食べられるし、子どもの成長も見守れる。お金にかえられない時間です」と原さん。
もっとも今の米価では、生活水準を保つ所得を得るのがたいへん、というのも事実です。お米は生産者団体を通じて出荷するほか、農民連の準産直にも毎年出荷しています。
「農民連への期待は準産直ですか?」と尋ねると、「う〜ん、それだけじゃなくて…」と言葉をさがしてから続けました。「この農政では、どの業者に出荷しても自分だけ相場とかけ離れた米価にはならないですよね。結局、農家を救うのは農家自身の行動だと思うんです」と原さん。「学者さんの中には外国から安い米を買えばいい、という人がいるけど、売らないって言われたらどうするのか。ある程度の食料自給率は必要だと思う。その農業を守ろうって言っているのが、農民連ですよね?」――率直で飾らない言葉に、農業への熱い思いがあふれています。
国分唯史さん(30)=東松山市畜産農家
農業は総合的、奥も深い
安定した会社員から転身
悩みは高い飼料、低い肉牛価格
国分唯史さん(30)は就農して三年目。お姉さん夫婦と一緒に肉牛三百五十頭を肥育しています。とくに資金繰りや経理といった事務方は唯史さん夫婦の担当。「農業は、本当に総合的で奥が深い仕事。まだまだわからないことばかりで…」と謙そんしきりです。
きちんとした話し方、ソフトな物腰。国分さんが就農したきっかけは、お父さんが病気に倒れたことでした。上場企業で、法務関係や、ISO規格に関する業務などを担当。その「安定した」身分を捨て、農業の道へ。「父が倒れた時、とにかく大変で、もう家族みんなでやるしかないと。(笑)」
目下の悩みは、肥育経費の高さと、出荷時の市場価格の低さ。「こう安くては、十三カ月かけて育てた労力が報われません」と言います。
飼料の高騰も深刻です。「この長そうなトンネルをいつ抜けるのか…。こらえどころですね。今、畜産農家はせっかく戻ってきた若い後継者に、また外に働きに行ってくれという状態で、若い人にどうアプローチするか、難しいです」
ちなみに国分牧場のたい肥は、花卉(かき)農家にたいへん好評だそうです。「周囲に花卉農家が残っているからこそ可能な循環です。どこかでこの輪が切れてしまわないことを願っています」
奥さんと二歳とゼロ歳の子ども、お母さん、祖父母、妹の八人家族。宅地建物取引主任者資格を持ち、不動産業も経営。
茨城・小美玉市 久保田紀子
(新聞「農民」2008.1.7付)
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