「農民」記事データベース20071224-809-02

危機突破へ怒りの集会 北海道

モー 我慢できない

乳価上げろ 酪農家の経営守れ

関連/海外は乳価が軒並み高騰なのに日本は生産者価格すえ置きなど経営困難


 農民連釧根地区協議会

 日本最大の酪農地帯、北海道釧路・根室地域で十二月二日、農民連釧根地区協議会が主催して、標茶(しべちゃ)町で「酪農危機突破集会」が開かれ、当初の予定を大幅に上回る百三十人余りが参加しました。

 事前に集会開催の記者会見をやったところ、地元のテレビ局で放映され、集会案内に酪農家を訪ねると「テレビで見たよ。よくやってくれた。乳価を上げるしか経営を守る道はない」と激励され、集会への期待が高まりました。また、大規模経営の酪農家が加入している別海町の法人会から「来年四月からの乳価引き上げでは間に合わない。農民連の言うように八十円乳価でなければ赤字を解消できない」という実態が寄せられました。

 集会では、協議会議長の石沢元勝さんが「エサ高騰による深刻な経営実態は、酪農家の責任ではない。再交渉を行い、乳業メーカーに乳価引き上げを強く要求したい」と開会あいさつ。酪農家から、標茶町の佐々木恵二さんは「これまでもたいへんなことはいっぱいあったが、今ほどとんでもない事態はない。赤字を埋めるために牛を出荷したが、買い手がつかず戻ってきた」と話し、「今年分の乳価が上がらなければ、離農につながる」と訴えました。また、別海町の島崎美昭さんは「年間二千トン生産して、過去最悪の赤字。去年は減産、今年は安いチーズ枠を増やそうとしているが、とんでもない。今でも十円以上の引き上げが必要だ」と述べました。

 牛の着ぐるみをまとった後継青年の島崎洋介さんと岩崎友規さんが、「国と乳業メーカーに、乳価の引き上げと補給金を改訂させよう」との集会決議を読み上げ、万雷の拍手で確認(写真下)。また、激励あいさつを日本共産党の紙智子参院議員、標茶町長、標茶農協組合長らが行いました。

 集会後、トラクター三台を先頭にデモ行進。「乳価を引き上げろ、酪農家の経営を守れ」のコールをとどろかせました。(写真上〈写真はありません〉


海外は乳価が軒並み高騰なのに
日本は生産者価格すえ置きなど経営困難

アメリカとEUの生乳・乳製品の価格 国内では乳価が上がらないのに、海外では急騰―。独立行政法人・農畜産物振興機構が出している「畜産情報」〇七年十二月号によれば、アメリカ、欧州連合(EU)、オーストラリアなどでは生乳をはじめ、バター、脱脂粉乳などの乳製品が軒並み高騰しています(グラフ)。これは、穀物需要増による飼料高や原油の高騰を受け、生産コストや国際価格が上昇しているためです。

 アメリカでは、生乳の生産者販売価格が〇七年一月に一四・五〇ドル(一〇〇ポンド)だったのが七月に二一・七〇ドルまで上昇、前年比でも倍近くになっています。

 乳製品でみると、バターは一月に一二二・五セント(一ポンド当たり)でしたが、七月には一四九・一セントに。脱脂粉乳は、一一四・〇セントが二二二・四セントと倍近くになりました。

 EUでは、バターが〇七年一月に二〇〇〇米ドル(一トン)が六月には二八五〇米ドルに、脱脂粉乳が三〇五〇米ドルが四九五〇米ドルに高騰しました。

 日本の酪農家も、飼料用穀物や肥料の急騰、石油製品、生産資材価格の上昇など置かれている状況は海外と同じ。しかし乳業メーカーは、生産者価格を据え置いたままで、子牛や乳牛の個体価格も急落。酪農を続けるのがますます困難になっています。

(新聞「農民」2007.12.17・24付)
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2007年12月

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