「農民」記事データベース20071112-804-08

岩手・一関

入学50周年記念 稲刈りに汗

岩手大卒業生 大東農民組合員の田んぼ

関連/心から喜べない実りの秋


“米づくりの苦労わかった”

 岩手大学の卒業生(一九五六年度入学)が集まって、岩手県一関市大東町にある菊地和夫さんの無農薬栽培の田んぼで「入学五十周年記念・農業体験同級会」を開き、稲刈りに汗を流しました。

 大東農民組合の会員である菊地さんは「米づくりの苦労、楽しみを味わうことで、日本農業の未来を展望するチャンスとしてほしい」と企画。十人余りが参加して、参加者らは、はじめての体験に無農薬栽培の苦労がわかったと話していました。当日は新聞社が二社押しかけ、翌日付で大きく報道されました。すごい反響で、友人や知人から電話があったそうです。
岩手日報(10月5日付)に大きく報道された
岩手日報(10月5日付)に大きく報道された


心から喜べない実りの秋

 今年は、生まれて初めてというほどの酷暑(こくしょ)の夏でしたが、心配された台風も七月に一回だけで、わが家をはじめどこもやや豊作の秋を迎えました。しかし肝心(かんじん)の米価は、全農の買い取り額が六十キロ約一万円で、本県の生産費一万七千円をはるかに下まわり、豊作も心から喜べません。

 新聞報道では、「新米の価格が大幅安で推移。さらに下落も」とありましたが、これでは政府の推し進める大規模経営になるほど赤字が増えて、経営破たんは必至です。

 しかもWTOや日豪EPAをはじめ、完全自由化すれば日本の食料自給率は一二%に低落し、農業生産額は四二%減、米は九〇%減になるとの報道もあります。これでは「農のない国」になり、関連産業や地域経済も崩壊してしまいます。

 戦後の日本は、商工業偏重、経済発展至上主義にかぶれ、農産物も工業製品と同じ競争原理を当てはめ、自由化・安売り競争の政策を推し進める自民党主体の政権を六十年間も継続してきました。今回の参議院選挙では、こともあろうに農業・農民の守り手である農協組織が、組織ぐるみで自民党候補を当選させるという、自縄自縛(じじょうじばく)の農業つぶしに加担しました。一農民、一組合員として、不可解であり、本当に情けなく、くやしい思いでいっぱいです。

(高知県四万十町、JA四万十総代 山地貢)

(新聞「農民」2007.11.12付)
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2007年11月

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