来年度予算(文部科学省)の概算要求をみて
全教書記次長 北村佳久さん
“国民のための食育”へ運動広く
地場物を学校給食に より活用できれば…
文部科学省は八月、来年度予算の概算要求を発表しました。
このなかでは、学校間の格差を広げ、子どもたちと教職員を競争へと駆り立てる学力テストの実施のための予算が計上されるなど、教育を国家の政策と財界の要求にそったものにしようとする意図が随所に見られます。
国民世論の高まりを反映した予算も
しかし一部には、子どもたちの安全確保や教職員の定数増、食育の充実など、これまでの運動と国民世論の高まりを受けた予算要求があります。
食育は、財界の要求にそった人材育成の一環として国民的な運動を強調し、意識の面から「国家総動員」をはかろうとする思惑で政策として持ち込まれたという基本的な性格があります。しかし同時に、国民の食糧と健康を守る運動、食糧主権確立を求める運動の前進を反映した施策が含まれており、運動によっては“国民のための食育”となる可能性をはらんでいます。
食育の充実にかかわっては、地産地消の促進のために各地に学校関係者、生産者、地域の有識者等により構成する「安定供給検討委員会」を設置し、調査研究を行う事業費が計上されました。事業内容のひとつは、年間を通して学校給食に地場産物を安定的に供給できるようにするための供給体制の整備をはかることです。
もうひとつは、地場産物が学校給食でより活用されるよう、その方策等について検討を行うことです。また、栄養教諭配置の予算も、今年度までの予算額を大きく上回る要求が行われています。
生産・流通・学校の三者の深い結びつき
学校給食法は、第一条の目的で「国民の食生活の改善に寄与する」ことを明記し、第二条の目標では「食糧の生産、配分及び消費について、正しい理解に導く」ことを掲げています。
学校給食を真ん中において、各地域の生産者と流通関係者、そして学校関係者の結びつきを深め、憲法の理念にもとづく国民の手による食育をめざしていきたいものだと思います。
(新聞「農民」2007.11.5付)
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