米の生産者価格「時給265円」に驚く全労連副議長 宮垣聡さん
世界の最賃上げ世論に逆行日本の食と農を守る運動にがんばりたい農水省が発表した二〇〇六年産米の生産費調査で、家族労働報酬を時給に換算すると二百五十六円となることに、驚愕(がく)しました。以前に米の生産者価格が五百ミリリットルのミネラルウオーターと同じ値段だと聞いたときにも、その安さにびっくりしましたが、時給二百五十六円にはさらに驚きました。それは、私たち労働者は“時給がいくら”ということに敏感だからです。今年の最低賃金は、全国平均で十四円上がり六百八十七円になりましたが、米の家族労働報酬はその四割程度にしかならず、ワーキングプアや生活保護基準以下の水準です。 全労連はワーキングプアを解消するために、最低賃金を時給千円以上に引き上げるためにとりくんできました。政府も生活保護基準以下の最低賃金を改善するために、三十九年ぶりに賃金決定要素の生計費について「生活保護に係る施策との整合性に配慮」するなどの最低賃金法の改正法案を国会に提出しました。(現在、衆議院で継続審議中) 最低賃金の引き上げは、世界的な流れです。イギリスは、全国一律の最低賃金制度を一九九九年から実施していますが、時給八百五十五円を段階的に引き上げ、二〇〇六年には千二百七十円になりました。アメリカでも、約十年間据え置かれていた法定最低賃金、時給五・十五ドルを二〇〇九年までに七・二五ドルへ引き上げる法案を賛成多数で可決しました。 そうした最低賃金引き上げの流れに逆行するような米価の下落と生活もできない家族労働報酬では、米を作る農家がなくなり、日本の安全でおいしいお米が食べられなくなるのでは、と心配です。 生産者米価の価格保障を行い、日本の農業と食の安全を守るために、みなさんと一緒にがんばっていきたいと思います。
(新聞「農民」2007.10.22付)
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[2007年10月]
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