岩手県農民連女性部
秋のバス・ツアー
岩手県農民連女性部は九月十六日、恒例の「秋のバスツアー」を行い、二十三ヘクタールの田んぼで米づくりをしている人から、週末だけ農家の人や家庭菜園の人まで三十七人が参加。素泊まり民宿の農家とパーマカルチャーを行っている自然農園の農家を見学しました。ツアーは五回目ですが、こんなにおおぜいの仲間が集まってくれて、“うれしい!”の一言です。
大勢の仲間が集まって
楽しく有意義な一日でした
まず、素泊まり民宿をしている遠野市の糠盛文枝さんの家へ。年に何回かコンサートも開く「星の宿」で、広い座敷も参加者でいっぱいになりました。六月に「人生の楽園」という番組名でテレビ放映されたビデオを見ながら、糠盛家の民宿や生活を研修し、手づくりしょうゆのもろみが眠る樽も見学しました。
昼食は、地元の食材しか使わないこだわりの農家レストラン「横一」さんで。この日は地域のお祭りなのでおもちが入った特別メニュー、すばらしいスローフードでした。
素泊まり民宿と自然農園を見学
自然の木を“肥料木”に生かす
そのあと、花巻市東和町でパーマカルチャーを実践している酒匂(さかわ)徹さん、淳子さんの自然農園「ウレシパモシリ」へ。ウレシパモシリとは、アイヌ語で“自然界そのもの”という意味だそうです。この農園のモットーは「循環と共生に満ちた空間での自然も人も搾取しない暮らし」。
自然に生えているネムやハンやハギなどの木々を“肥料木”として有効にいかす酒匂さん。「道路になっているところでも、畑や田んぼでも、そこで息づいている植物たちは、いつか立派な森になりたいというエネルギーを持っているということを知ってください」と話しました。木でも草でも動物でも、多様な関係があってお互いが安定し育みあっているということ、人間がわざわざ植えなくてもその土地に足りないものが生えてくること(植物のボランティア)を、ひとつひとつていねいに説明してくれました。田畑はできる限り不耕起栽培で、ホタルがたくさん飛び交う山あいの農園から、さらなる自然からのメッセージを感じ取れるような百姓を目指しているという酒匂さんの話を聞いて、パーマカルチャーとは何かを少しわかったような気がしました。
盛岡市から参加した小笠原章子さんは「いぜんから不耕起農業に興味がありました。冬の間水をはった田んぼの中で糸みみずが活動するのが、肥やしをやったくらい効果があるとは、目からウロコ」と話していました。
あいにくの雨模様でしたが、わが家の農作業を気にすることもなく、楽しく有意義な研修の一日でした。
(岩手県女性部 久保田みき子)
《パーマカルチャー》
「永続的な農業」と同時に「永続的な文化」を意味する。農園に樹木や低木、野菜、ハーブ、家畜などを組み合わせて、自然な二次林に近い複雑な生態系を作っていく。
うまく工夫すれば、肥料や人工的なエネルギーを外から持ち込まずに、生態系が生み出す生産物の一部を収穫して、食料を大部分まかなえるようになる。たくさんできた産品は販売する。
(新聞「農民」2007.10.1付)
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