想像以上に汚染ひろがる
07年GMナタネ調査結果を報告
遺伝子組換えナタネ調査隊
陸揚げ港から遠い地点でも
関連/GMナタネが日本の食卓に上る割合は65%以上に
8県から87件も検出
農民連食品分析センターの遺伝子組換えナタネ調査隊は、二〇〇七年の遺伝子組み換え(GM)ナタネの自生調査結果を発表。GM汚染が広がり、港から離れた地点でも検出されるという深刻な実態が明らかになりました。
調査隊は、三月から六月にかけて、一般参加者にも呼びかけて、調査を実施。輸入され、港で船から陸揚げする際に、種子がこぼれ落ちたか、またはトラックで運搬中にこぼれ落ちたとみられるGMセイヨウナタネの自生状況を調べました。
調査地域は十一県、総検体数は百九十六(うち一般参加分は十八件)でした。今回初めて、岡山、広島、福岡、鹿児島を調査しました。
調査隊は、陸揚げ港に隣接する搾油会社、飼料会社周辺を中心に、国道沿いなどを調査。検出されたGMネタネは八十七検体、このうち除草剤バスタを散布しても枯れないグルホシネート耐性(LL)が二十八検体、除草剤ラウンドアップを散布しても枯れないグリホサート耐性(RR)は五十九検体でした。
GMナタネが検出された県は、千葉、神奈川、静岡、愛知、三重、兵庫、岡山、福岡。岡山、福岡では初の検出でした。昨年も検出された千葉・千葉中央港、三重・四日市では、今年も引き続き多数検出。三重県内では、一般参加による調査で五件確認されました。
昨年、一般参加による検査で一件だった横浜では、搾油会社、国道沿いで八件検出。また市民団体の調査で検出されている福岡でも、マンホールのすき間に多数発芽しているなど、深刻な汚染状況が確認されました。
横浜、岡山・宇野港では、搾油会社から五キロ離れた地点、博多ではふ頭から八キロ離れたインターチェンジでも見つかり、汚染が広がっていました。四日市など、会社によるこぼれ落ち対策、市民による抜き取り作業が行われている地域でも、多数検出されました。
今回の調査では、生活クラブ生協など他の市民団体との共同調査が行われ、他団体との「ストップ!GM汚染」の連携が進みました。
監視さらに強めないと
農民連としても、調査活動に取り組んでいる他の団体と共同して、政府に厳格な調査と厳重な対策を要求します。
分析センターの八田純人さんは「想像以上に汚染が広がっていると感じました。ナタネの陸揚げ港では例外なく検出されたほか、陸揚げ港がない熊本、鹿児島でも、市民団体の調査で検出されています。汚染が、点から線になり、面に広がっている可能性が指摘されています。今後、調査対象をさらに広げ、監視を強めることが必要です」と警告します。
インターネットで調査の模様を視聴できます。調査隊のホームページは次の通り。
http://earlybirds.ddo.jp/natane/
ナタネもバイオ燃料の原料需要増から、いま価格急騰
ナタネの種子を搾ったナタネ油は食用に、ナネタ油粕は飼料や肥料に使われます。ナタネ油は現在、日本で最もよく使われている食用植物油脂で、総供給量の三分の一を占めています。
現在、ナタネの国際価格が急騰しています。その背景には、オーストラリアでの干ばつによる生産量の減少やEU(欧州連合)でのバイオディーゼルの原料としての需要増がもたらす期末在庫率の低下があります。
バイオディーゼルが燃料の八〇%を占めるEUでは、二〇一〇年に輸送燃料の五・七五%をバイオ燃料でまかなうという目標を掲げています。
世界で栽培されるナタネの一四%が除草剤耐性のGM品種。GMナタネの作付面積は二〇〇六年で四百八十万ヘクタール。前年より二十万ヘクタール増えました。
日本は、ナタネの八五・三%(〇六年)を、GMナタネの作付割合が七七%を占めるカナダから輸入しています。日本のナタネの自給率は〇・一%にすぎず、ナタネ油、マーガリンなどとしてGMナタネが日本人の食卓に上る割合が六五%以上になります。
油脂は、遺伝子組み換えの表示が義務づけられておらず、私たちは、知らない間に、GM食品を口にしているのです。
(新聞「農民」2007.8.13付)
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