農協事業と独占禁止法(下)公正取引委員会が指針公表
農協事業と独占禁止法公正取引委員会が公表した指針によると、独禁法第二二条但し書き違反による警告は、〇六年七月に、京都と北海道で連続して行われています。京都の事例は、農協から生産資材を購入しない組合員には共同利用施設を利用させない、組合に米を出荷しない場合はライスセンターやカントリーエレベーターの利用を断るというものです。 また北海道・士幌町農協の事例は、生産資材を組合から購入する場合に限って畜産・営農短期資金の貸し付けを行う、また、飼料などの生産資材を組合以外の業者から購入した場合や肉牛を販売した場合は、生産設備の賃貸借契約を解除するというものでした。これらはいずれも「拘束条件付取引」として独禁法違反と認定され、警告が行われています。 公表された指針によると、連合会を含む農協への法的措置や警告は、一九八九年以降で十一件にのぼっており、うち全農を中心にした連合会が六件、単位農協が五件です。
独禁法違反事例多発の背景全農関連では、段ボール箱を中心とした資材メーカーに対する「優越的地位の濫用」と、特定県での農薬事業拡大のための「不当廉売」が含まれています。単位農協では、さきの二事例のほか、宮崎中央農協、鳥取中央農協、熊本・八代地域農協があげられ、いずれも排他条件付きか拘束条件付きの取引となっています。このような農協の独禁法違反事例多発の背景には、いま全国的に進められている経済事業改革での経済部門収支改善・黒字化への流れがあります。農協経済事業が赤字になっている根本原因を究明しないで、組合員への締め付けとごり押しで無理やり経済事業の黒字化を実現しようとする動きです。独禁法適用除外という協同組合の特質を悪用して法律違反を犯し、財界のねらいに好材料を提供していると言えます。 (おわり) (Y・H)
(新聞「農民」2007.8.6付)
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[2007年8月]
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