「農民」記事データベース20070806-791-05

農民連 すでに各地で取り組み中

政府 生産工程情報の提供・推進を決定

交付金の活用も視野に入れより組織的な運動さらに

関連/育ちは順調です


 政府が四月に決定した「二一世紀新農政二〇〇七」は、「食品の安全と消費者の信頼の確保に向けた取り組み」として、GAP(農業生産工程管理手法)の積極的な導入・推進を決定しました。そして、その目標として二〇一一年度までに「二千産地の導入をめざす」ことにしました。

 農水省はこの決定を受け、六月に作物ごとの生産者用と組織用の「基礎GAP」を示し、有識者による「GAP手法導入・推進会議」を設置すると同時に、各地で意見交換会の開催を計画しています。その初めての意見交換会が七月十七日、さいたま市で開かれました。

 国が認定しない?

 GAPは、そもそもヨーロッパの小売業界がそれぞれの独自性を出すために作成、運営してきたものと言われています。

 農水省の説明では「GAPは、国が認定したり認証をするものではない」と盛んに強調しています。これは、JAS有機の認証制度のもとで認定された生産者団体はくたびれはて、認証機関の不正認定や、認定農場以外で生産したものまで有機JASの不正表示があいつぐなど、制度への不満や不信が強まっているからでしょう。

 またエコファーマーの認定は、生産者の生産への努力が評価できることから、認定者が伸びているとはいえ、農業生産に国が基準を設け、農民をその基準でふるいわける手法には、問題があるからなのでしょう。

 農水省が示したGAPは「農業生産の工程管理によってマネジメントする手法」(どんな農法にも適用できる)で、「(1)計画、(2)実践、(3)点検・評価、(4)見直し・改善」について、それぞれの項目のチェックリストを作成し、その記帳をもとにこのサイクルを繰り返し、生産技術の向上に自ら努めていくとしています。

 そして農水省は、GAP推進のために、三戸以上の営農集団等を対象に「食の安全・安心確保交付金」として、先進地視察、研修会、記帳用チェックリストの作成・配布などに、二〇〇七年度で二十五億円の予算を組んでいます。しかし、農水省はその補助対象を産地化しているところに絞り込もうとしています。

 GAPと意識せず

 農民連は「表示ガイドライン」の議論が始まったころから、生産者は生産過程を明らかにし、それらを消費者に伝えるため、組織として栽培基準を確立し、生産者カードをはじめ産直組織としてその地域で合意できる生産情報を消費者に提供する運動を重視してきました。多くの加盟組織は、こうした手法をGAPとは意識せずにすでに取り組んでいます。

 これらの実践は、農水省が提案するGAPの手法と矛盾するものではありません。大企業に抗してさらに発展させるためには、地域の普及センターなどと協力し、交付金の活用も視野に入れたより組織的な運動が求められています。

(農民連本部 斉藤敏之)


育ちは順調です

福島県北農民連米部会
田まわり会で確認

 福島県北農民連の米部会は七月十四日、田まわり会を行い順調に育っていることを確認しました。(写真〈写真はありません〉

 産直米に取り組んでいる三十五人の会員が朝八時に集まり、午前中は福島地区、午後は伊達地区で行いました。全員の田んぼをひとつひとつ回り、葉色、幼穂などを見て追肥の時期など、農薬肥料メーカーの協力を得て指導を行いました。軽トラを十数台連ねて田んぼを回る光景は、なんともそう快です。

(福島県北農民連かわら版ニュースから)

(新聞「農民」2007.8.6付)
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2007年8月

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