韓国で食糧主権フォーラム
国民の共同の力で農業と食糧を守り食料主権の確立を「国民の共同の力で農業と食糧を守り、食糧主権の確立を」――韓国の農民・消費者・環境運動十三団体は七月七日、ソウルで「食糧主権フォーラム」を開きました。
多彩な顔ぶれ食健連・坂口事務局長もフォーラムに招かれた国際代表の顔ぶれは多彩。マリ農民連合(CNOP、イブラヒム・クーリバリ代表)、ネパール農民連合(ANPA、プレム・ダンガル事務局長)、ベネズエラ農民連合(CANEZ、ブラリオ・アルバレス代表)、ビア・カンペシーナを代表してジョゼ・ボベ氏。さらに日本からは坂口正明食健連事務局長と真嶋良孝農民連副会長。座長は韓国の元農林部長官のキム・スンフン尚志大学総長。世界で初めて食糧主権を農業法の基本原理にとりいれたマリ、暫定憲法草案に食糧主権が明記されたネパール、すでに力強く食糧主権にもとづく政策を実施しているベネズエラの代表とともに、日本から代表が招待されたのは、食と健康、農業を守る食健連型ネットワークに学びたいという韓国側の熱意によるものです。 フォーラムは国際的経験に学び、国際連帯を深めた第一部と、韓国の農民、消費者、労働者、環境運動家が一堂に会して国民共同と持続可能な農業のあり方を討論した第二部の構成。 数時間に及んだフォーラムのうち、ネパール、マリ、韓国(全国農民会総連合=KPLのチェ・ジェガン政策委員長)の発言と、ネパールの暫定憲法草案、マリの農業法のポイントを紹介します。 (農民連副会長 真嶋良孝)
ネパール憲法草案に食糧主権を明記さらに食糧主権法制定へ運動王制を打倒し、間もなく民主ネパール政府が誕生する。私たちは王制打倒のたたかいのなかで、食糧主権を全国民のものにするキャラバンを展開した。投獄や拷問に屈せずにたたかった結果、政府は今年になって、暫定憲法草案に「すべての国民は食糧主権を有する」ことを基本的権利として明記し、これを実行することを「国家の責務」とした。ネパールは世界で初めて食糧主権を憲法に明記する国になる。 今年中に憲法を制定するための議会選挙が行われる。私たちは選挙に積極的にかかわり、さらに食糧主権にもとづく政策が確実に実行されるよう「食糧主権法」をつくることを要求してたたかい続ける。
マ リ食糧主権をとり入れた「農業法」が国会で成立マリは一九六〇年に独立したが、その後の軍事独裁政権は農業・食糧政策を破壊した。九一年に独裁政権を倒してから、マリの農民運動は本格的に始まった。マリの人口の八〇%は農民であり、私たちは大きな声をあげ続けた。十年間のたたかいで、政府は農民が望む農業政策をとることに同意した。私たちは全国の農民や漁民と話し合い、彼らの意見を政府にぶつけ、一緒に食糧主権について検討してきた。 農民の声が大統領を動かし、昨年八月「食糧主権はすべての農業振興政策の直接的な方針を示すものである」と規定した農業法が国会で成立した。
韓 国食と健康・農業を守るネットワークづくり提唱いま、私たちに食糧主権はない。消費者は韓国産とだまされて輸入牛肉を食べさせられ、黄色に変色した中国産米を脱色して作った海苔(のり)巻きを食べさせられている。農民は韓米FTAによって、農業から追放されるだろう。国民の七八%は国産農産物が安全だと考えている。食の安全を守ることは国民全体の課題だ。だから私たちは、安全な食べものを作り、環境にやさしく持続可能な農業に変えていく農民の努力を国民的合意で支えるネットワークを提唱する。 政府に対しては、食料自給率向上目標を作ること、農業の公共的役割を認め、ネパールやマリに学んで食糧主権を法制化することを要求する。
マリ農業法(〇六年九月五日)第3条 農業振興政策は食糧主権を守り、農業分野を国民経済の推進力とすることを目標とする。 (新聞「農民」2007.8.6付)
|
[2007年8月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2007, 農民運動全国連合会