「農民」記事データベース20070730-790-02

日豪自由貿易協定はいらない

日豪の市民団体が共同声明


団体・個人に賛同署名を広くよびかけ

 北海道や沖縄などで大規模な反対集会が開かれ、各地の地方議会では「交渉中止」の意見書が採択されるなど、日本・オーストラリアFTA(自由貿易協定)交渉には、多くの国民が批判の声を上げています。しかし安倍内閣は、EPA(経済連携協定)・FTAを「積極的に推進」(骨太の方針二〇〇七)しようとしています。

 わが国の農業に壊滅的な影響を及ぼす日豪FTA交渉は、参議院選挙直後に東京で二回目の交渉が行われます。これにあわせて日本とオーストラリアの市民団体・NGOは、「日豪FTAは両国の人々に本当の利益をもたらさない」との共通の認識のもと、「日豪自由貿易協定はいらない―意味のない交渉の中止を」の共同声明を作成。多くの団体・個人に賛同署名を呼びかけています。

 よびかけ団体は食健連など14団体

 この取り組みは、今年三月に北海道農民連を中心とするオーストラリア視察団が現地で市民団体・NGOなどと話し合いを行った際に、“市民レベルの共同声明を出そう”という話が持ちあがり企画されたもの。

 共同声明は、農業に関して「貿易交渉によって農民の暮らしが破壊されてはならない。大事なのは、食糧主権と農村の発展、農民の暮らしの保護に立脚したグローバルな農業システムである」と述べ、ほかにも「環境と地球温暖化」、“保健衛生や水、教育などの基本的サービスは、FTAから除かれるべき”とする「基本的なサービス」、また「人権と労働の権利」、「公聴会と開かれた議論」についても言及しています。

 日本では、全国食健連はじめ十四の団体が呼びかけ団体になっています。この共同声明と賛同団体名は、第二回日豪FTA交渉の際に記者発表し、社会にアピールする予定です。


埼玉 本庄市、上里町で意見書採択

 「日本農業に甚大(じんだい)な打撃を与える日豪FTA交渉の中止とFTA・EPA促進路線の転換を求める意見書」が、埼玉県本庄市で三月、上里町で六月、それぞれの議会で採択されました。

 意見書は「小麦生産農家の経営を守るべく農協等を中心にした農業生産法人をようやく立ち上げたにもかかわらず、日豪FTA締結により関税ゼロで小麦が輸入された場合、生産は皆無になる」と指摘しています。

 本庄市では、農民連会員の農業委員、高橋正巳さんが、また上里町でも、農業委員の村田仙太郎さん(日本共産党推薦)が、農業委員会に働きかけたことが議会採択に実りました。

 本庄市、上里町、神川町、美里町の一市三町の農業委員会で構成される児玉地方農業委員会連絡協議会は、FTA・EPA問題をさらに深めようと、七月十九日に本庄市で研修会を開催。前明治大学教授の滝澤昭義さんが「WTO・FTA・EPAは日本農業に何をもたらすか」をテーマに講演し、百三十人が参加しました。(写真〈写真はありません〉

 今後、美里町と神川町でも、農業委員会が日豪FTA交渉の中止を求める決議を行う予定です。


福岡でも2市2町で

 福岡県の京築農民組合は、管内にある二市五町の六月定例議会に「日豪FTA・EPA交渉の中止を求める意見書」を採択するよう、請願しました。

 その結果、行橋市、豊前市の二市と、築上町、吉富町の二町で採択。また、築上町農業委員会では、四月の総会で同趣旨の建議書を全会一致で採択し、六月に開かれたJA福岡豊築の総代会でも特別決議をあげています。

 京築農民組合の木本正見さんは、「政府は、参議院選挙が終わったらオーストラリアと本格的な交渉を始める。生産者や地方の声を無視して、FTAをゴリ押しする安倍内閣は許せない」と話しています。

(新聞「農民」2007.7.30付)
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2007年7月

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