国民の信頼ゆるがす食肉偽装事件全容解明し万全対策を食健連・農民連 農水省に緊急申し入れ
食品加工卸会社「ミートホープ」が、牛肉のミンチに豚、鶏、カモなどの肉のほか、内臓やパン粉などの生肉以外のものを混入したなど、判明しているだけでも十三件もの偽装をしていた問題で、食健連と農民連は、七月四日、「今回の偽装事件は、安心・安全を願う国民の信頼を根底からくつがえす大事件。全容を解明し、万全な対策を」と農水省に緊急申し入れを行いました。厚労省は「管轄でない」との理由で、申し入れを拒否しました。(写真〈写真はありません〉) 農水省は、「JAS法による食品表示は、小売り販売される商品が対象で、ミートホープのような業務用品は実際に小売りされた証明がないと直接検査できなかった」と説明。さらに「〇六年一月から〇七年六月の一年半で、約二千三百件もの内部告発を含む疑義情報が農水省に寄せられている」と回答。これには参加者もビックリ。 「不正は二十年以上も前からで、内部告発があっても動かず、マスコミに騒がれたら調査するというのでは納得できない」「長年にわたって不正を見逃してきた監督官庁の責任を明確にしなければ、今後の対策も正しくできないのではないか」との声が上がりました。 ミートホープ社の田中稔社長は、「うちのしたことは悪いが、業界全体の体質の問題。スーパーで冷凍食品の半額セールを喜んで買う消費者にも問題がある」などと、とんでもない発言をしています。新婦人からは、「加工食品は学校給食でも大量に使用されている。アレルギーがひどくて修学旅行にも行けない子どもがいるなかで、こういうことが二度と起こらないシステムをつくってほしい」という意見も。「業者の不正を見つけられないのでは、行政の責任を果たしていない。消費安全技術センターの職員を増員するなどチェック体制を強化し、安全・安心を願う国民の信頼を取り戻してほしい」と強く要請しました。
国内生産を拡大し自給率向上を農民連関東ブロック 関東農政局と交渉農民連関東ブロック協議会は六月二十六日、さいたま市の農林水産省関東農政局を訪れ、関東地方の農林業振興を求めて交渉を行いました。関東各都県の会長、事務局長らが参加。農政局からは、林田直樹次長のほか各担当課長が出席しました。冒頭、関東ブロック協議会の大木伝一郎代表(千葉県連会長)が「世界の流れは、食糧主権の確立の立場で、家族農業と地域の特徴を生かした多様な農産物生産にある。主要農産物の安定的な生産のために、実情にあった農業振興に全力をあげよ」と要請。ブックレット「食糧主権宣言(案)」を手渡しました(写真〈写真はありません〉)。農民連は、日豪EPA交渉を中止し、日米EPAに向けた共同研究をやめ、FTA・EPA路線の転換、国内生産を拡大して、食料自給率を向上させる施策を強めるよう求めました。 群馬の井上健太郎・県連会長は、「群馬はこんにゃくの主産県であり、こんにゃく生産国であるミャンマーとのEPA交渉に危機感をもっている。現に、耕作をやめてしまった農家もある」と懸念を表明しました。 また、品目横断対策で米の減反を助成事業の条件からはずし、すべての農家を対象に生産費を償う農産物の価格保障を行うよう要求。茨城の小林恭子・県南農民組合事務局長は「品目横断対策からはずれた大豆農家が生産をやめてしまい、遺伝子組み換え大豆が広がらないか心配」と実情を訴えました。 農民連はさらに、アメリカ産牛肉の輸入時の全箱検査を継続し、輸入条件の緩和を求めるアメリカの要求に応じないこと、都道府県が行う二十カ月齢以下の牛のBSE検査への国の助成を継続することを要請。全箱検査について、農水省が「厚生労働省の管轄だ」とのべたのにたいし、埼玉の松本慎一・県連事務局長は「農水省からも厚労省に強く求めるべきだ」と指摘しました。 学校給食に国内・地場産農産物の活用を引き上げるよう求めたのにたいし、農水省は「地産地消を進め、学校給食に米飯の割合を増やすよう、お願いしている」と答えました。
(新聞「農民」2007.7.16付)
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[2007年7月]
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