「財界農政」追随の全中の罪深さ自民候補激励会になった「輸入自由化反対集会」
JA全中(全国農業協同組合中央会)は六月十二日、WTO(世界貿易機関)や日豪EPA(経済連携協定)に対応する全国集会を東京で開き、国会までデモ行進。しかしこの集会が、自民党から立候補する全中前専務・山田としお氏の激励集会になってしまったのは、いまの全中の実態を示すものといえるでしょう。 集会会場入り口では、山田氏の後援会報が配られ、集会の最後には山田氏自身にあいさつさせる場を作りました。 自民党の農林関係幹部は「民主党の小沢代表は、完全自由化をいっている。戸別所得補償などというのは選挙目当てのニンジンだ」と民主党を批判する一方で、「山田さんの当選は農協の団結を示すものだ」などと壇上から参加者を参議院選挙にかりたてました。 これまでこの手の集会は、自民党国会議員が壇上に並び紹介を受ける、公明党は代表出席、集会後は共産党を含め野党議員にも農協関係者が要請に回るのが通例でした。今回は、野党要請はおこなわれず、デモに応じる国会の議員面会所前は、自民党議員だけでした。 集会は、農産物の輸入自由化反対の世論と政治的意思を固めることが目的のはずです。ヨーロッパ農業団体連合会副会長を招待し、世界各国で食料安全保障や食糧主権確立の声が広がっているとの言葉も出ました。消費者団体代表も参加し、多様な農業の共存を求めることをアピールしました。そうであるのなら、食糧主権を否定する財界をバックにした自民党とは相いれないはずです。財界は、大企業の海外進出や農産物の貿易利益を身勝手に追求し、食料自給率向上は必要ないとの態度です。 参加した東北の農民からは「山田さんが当選しても農政は変わらない。でも落選すると農協がバカにされる…」と苦しい胸のうちを語っていたのが、全中の罪深さを表していました。
農協ぐるみ選挙中止を滋賀で抗議滋賀農民連(会長・北村富生)と滋賀単位農協労組(委員長・板倉朝)は六月十三日、滋賀県農協中央会に対し、協同組合の原則を蹂躙(じゅうりん)する農協「ぐるみ」選挙をただちに中止するよう、申し入れました。七月の参議院選挙に全中前専務の山田としお氏が自民党公認で立候補しますが、滋賀県内でも、農協組織を利用した「ぐるみ」選挙が行われており、批判の声が上がっています。 申し入れでは、農協施設を後援会活動や「山田選挙」に使用しないこと、農協業務を通じて後援会加入・募金・ビラ配布などを強制しないよう中央会から単位農協に文書通達することなど。 これに対して県中央会吉田良美常務は、「山田氏は組織が推薦しているから、コンプライアンス(法令順守)に違反しない」と主張。「組織推薦はJAではなく、後援会が決めたこと。勤務時間内にメール便などを使って選挙活動を行うのは違反」と指摘すると、吉田氏は回答できませんでした。
(新聞「農民」2007.7.9付)
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[2007年7月]
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