「農民」記事データベース20070709-787-04

米国産牛肉なしくずし輸入やめよ

国会4野党集会

関連/全箱検査中止は危険


食の安全の願いに逆行

全頭検査継続など強く要求

 月齢三十カ月以下のアメリカ産牛肉のなしくずし的な輸入に反対する集会が六月二十一日、国会内で開かれ、日本共産党、民主党、社民党、国民新党の野党四党の衆参両議員や市民らが集いました。司会を共産党の紙智子参院議員が務めました。

 各党あいさつで、共産党の高橋千鶴子衆院議員は「アメリカ産牛肉の月齢制限を取り払い、輸入条件を緩和することは、食の安全を求める国民の願いに逆行するものだ」と批判。昨年六月の輸入再々開以後も違反が相次いでいる実態をのべ、「長年積み上げた貴重な成果である全頭検査を守るために、野党、国民との共同を広げて、がんばりぬきたい」と決意表明しました。

 市民団体からは、生活クラブ・スピリッツ株式会社代表取締役専務の白井和宏さんが、消費者を代表して発言。「アメリカ一辺倒の政府の姿勢を変えてほしい」と野党への期待をのべました。

 農家を代表して、農民連・畜産農民全国協議会会長の森島倫生さん(静岡県浜松市の養豚農家、写真)が、肉骨粉の混ざった飼料を排除し、管理を徹底させてきたことは運動の成果だと強調。全頭検査、特定危険部位の除去を守るために、政府の態度を変える重要性を力説しました。

 帯広畜産大学名誉教授の品川森一さんは、全頭検査の必要性について講演しました。

 参加者は最後に、「安倍内閣が米国産牛肉の輸入に関する安易な交渉に入り、なしくずし的に条件が緩和され、輸入が拡大することに断固反対する」とする大会アピールを採択しました。

 北海道・音更町議会が意見書

 音更町議会は六月二十日、「アメリカ産牛肉の輸入条件の緩和に反対し、国内での全頭検査を維持する予算措置の継続を求める要望意見書」を全会一致で採択し、衆参両院議長、内閣総理大臣などに送付しました。この意見書は、音更町農民組合が陳情書を提出して実現しました。
(北海道農民連 山川秀正)


全箱検査中止は危険

政府説明会 批判意見が続出

 農水省と厚労省は六月二十一日に東京で、二十二日には大阪で、米国産牛肉輸出認定施設の現地査察結果説明会を開きました。これは、四月の日米農相会談で、アメリカ側が食肉処理施設の査察を受け入れる代わりに、日本は輸入時の全箱検査を中止することで合意したため。

 このうち、東京会場には消費者や食肉関係者など二百二十人余りが参加しました。参加者からは、不信感をあらわにする質問や食の安全・安心を心配する声が多数出されました。

 最初に厚労省から、二十八施設の査察を行った結果、「システム上の問題はなかった」との報告がありました。これに対して出席者から、「輸入再開後に四回も違反があったのに、なぜ韓国のように輸入ストップしないのか」、「何回も違反がでるようでは、システムが大丈夫とは言えない」などと問いつめましたが、厚労省側は、「単純ミスで改善されているから輸入ストップしない」とか、「私たちは性善説に立つのでアメリカを信用したい」などと答え、会場から失笑が漏れていました。

 また、「なぜ全箱確認をやめるのか」との質問には、「予定した期限が来たのでやめるだけ」とまったく無責任な答弁。会場からは、「アメリカは食品安全委員会で決めた輸出プログラムを破っており、これ以上輸入条件の緩和は認められない」の声が出されていました。

(新聞「農民」2007.7.9付)
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2007年7月

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