「農民」記事データベース20070625-785-13

旬の味


 保育園のプランターに、赤いイチゴが実り始めると、子どもたちはとてもうれしそうにのぞきこんでいる▼しかし、保育園で採れる野菜は、すべて加熱処理しなければ子どもの口に入れてはいけない。先生も「本当は子どもの口に、ホイッとほうりこんでやりたいんだけどね」とこぼす。わずかなイチゴは、わずかなジャムにしたそうだ▼キュウリもトマトも加熱してしまえば、現場と食育はマッチしない。そんなズレをすごく感じる。食育がキチンとなされていないのは、子どもばかりではない。年配のおとなだって野菜の旬を知らなかったり、必要以上に無農薬にこだわったり…。驚くことが多い▼日本の食料自給率は四〇%と低迷しているけれど、世界の食糧事情もよく見てほしい。地球規模で飢餓と飽食の格差が広がっている。日本の豊かな食は、世界中から買い集められて成り立っているのではないか▼露地野菜の収穫が始まる。この時期こそ、本当の“旬の味”を知ってもらうチャンス。農民こそ食育の発信源でありたい。

(る)

(新聞「農民」2007.6.25付)
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2007年6月

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