「農民」記事データベース20070625-785-11

肉なし・米切れた
水入れ増量食
約束もキャンセル
気力がわかない

「最低賃金生活」に挑戦(一ヵ月)

この生活ずっと続けるのはムリ


全農協労連 星野彗さん(25)

 ワーキングプアや非正規雇用が広がる昨今、求人雑誌のページをめくると、目に飛び込んでくるのは時給八百円〜九百円台の求人広告ばかり。月収にしたら十三〜十五万円です。しかし驚くなかれ。各県の労働局長が決めている「最低賃金」は、もっと安いのです。一番高い東京で七百十九円。青森や沖縄では六百十円。

 実際に「最低賃金」で暮らしたら、どういう生活になるのか、全農協労連の勤務員、星野慧(さとし)さん(25)が、一カ月の「最低賃金」生活に挑戦しました。涙と苦笑が渦巻く星野さんのブログから紹介します。

 自給1000円 最低必要ですョ

 「最低賃金」生活をしてみてもっとも強く感じたのは、こういう生活をしている人が今、たくさんいるんだ、現実なんだ、ということです。

 お米が底をついたころから食材もだんだん国産にこだわることができなくなって、一時は空腹すぎておなかいっぱい食べる夢を見たことも。この生活をずっと続けていくのは無理です。一カ月間で四キロやせました。この賃金では貯金できないのでアパートの更新料も払えないし、家電も買えず、ネットカフェ難民になってしまう青年の状況がリアルに感じられました。

 先日の全国青年大集会のアピールにもあるとおり、最低でも時給千円は絶対必要です。

家計簿の計算(△は収入からひく)
収入 126,544円
最低賃金(東京)時給719円
719円×1日8時間×月22日勤務
 税金・社会保険  △19,880円
 水光熱費・通信費 △12,559円
 奨学金返済    △12,428円
 家賃       △60,000円
自由に使える残金 21,677円
 31日で割ると⇒ 1日699円!


日々おいつめられていく 〈軌跡〉

 ◆2日目 朝・なし 昼と夜・肉なしカレー
 ◆3日目 あ、やば!米が切れた。洗剤が切れた。シャンプーが切れた。おれが切れそう。朝・ご飯、納豆、卵焼き、野菜いため 昼・弁当(朝と同じ)、夜・肉なしカレー
 ◆5日目 もやしが九円だったので三袋購入。今のとこ食材はすべて国産。ただ生き延びるだけじゃなくて、こだわりも維持してこその「生活」だ!
 ◆9日目 休日。約束があったけど電車賃千四百円かかるのでキャンセル…。
 ◆10日目 朝・なし 昼・ご飯、納豆、キムチ 夜・ご飯、肉なし肉じゃが、キムチ、ミニトマト、イチゴ
 ◆13日目 休日。カロリー消費を抑えるために、家でじっとしてる。あ〜牛乳飲みたい。
 ◆15日目 朝・なし 昼・ご飯、納豆、キムチ、ジャガイモスープ 夜・ご飯、卵焼き、キムチ、肉じゃが(肉なし)
 ◆16日目 米の残量が…。朝と夜はジャガイモとかホットケーキにしよう。野菜いためをあんかけにして増量。
 ◆19日目 明日の食事を考えるだけでギリギリ。資本家の言う「再チャレンジ」なんてまやかしだ…。朝・ホットケーキ 昼・ご飯、野菜いため、卵焼き、夜・しょうゆスパゲティ
 ◆21日目 気力がわかない。いつの間にか国産にこだわれなくなった。朝・なし 昼・納豆スパ 夜・しょうゆスパ
 ◆23日目 朝・水増しホットケーキ一枚、昼・サンドイッチ(一斤八十九円のパン、卵、チーズ、イモ) 夜・野菜スパ
 ◆24日目 気力が切れたら倒れそう。
 ◆25日目 この生活だと食事はすべて安い材料で自炊。肉類はいっさいなし。
 ◆27日目 気も休まらず、何かの問題がおきたら、加速度的に追い詰められてしまう。自己肯定さえできにくい。朝・ホットケーキ、昼・サンドイッチ(23日と同じ) 夜・カレースパ(何日目だ…)
 ◆最終日 残金百四十三円。乗り切ったぜ! 朝・ご飯、ジャガイモ煮、昼・いつもの弁当(ご飯、野菜いため、卵焼き) 夜・ジャガイモ煮のみ。

(新聞「農民」2007.6.25付)
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2007年6月

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