「農民」記事データベース20070625-785-10

本の紹介

農民連顧問・山本博史著
「現代の食糧問題と協同組合運動」


協同組合はこれでいいのか
展望と課題を明らかに解明

現代の食糧問題と協同組合運動 農民連顧問で、東洋大学講師の山本博史さんが、「現代の食糧問題と協同組合運動」を出版しました。山本さんは、全国農協中央会に長年勤務し、(財)協同組合研究所で内外の協同組合運動に関する研究を続けるなど、一貫して協同組合とともに歩んできました。

 この本は、「日本の協同組合はこれでいいのか。これで協同組合といえるのか。どうすれば、協同組合運動を展開できるのか」、こうした筆者の痛切な思いのもとに、この間の研究成果をまとめたものです。

 まず、農協問題に関しては協同組合運動の原点から論じています。それは、狂気の時代だからこそ、協同組合が「正気の島でなければならない」と強調した「レイドロー報告」(一九八〇年のICA第二十七回モスクワ大会で発表)です。この報告に照らして、日本の協同組合運動が「いかに実践面で不十分であったか」が検証され、また展望と課題も明らかにされています。

 また、いま大きな問題になっているFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)がメキシコやタイの農業にどのような影響をもたらしたのか、その教訓を引き出しています。

 そして、この本の大きな特徴の一つは、協同組合運動を農協だけにとどめないで、生協についても深く分析していることです。コモジャパンの設立や「生協懇談会」の活動など、生協の事業改変と農産物の流通、生産者への影響を論じています。

 協同組合が事業・経営だけでなく、運動としての性格を取り戻し、世界の社会運動に合流して、「もう一つの流れ」を大きな潮流に発展させてほしい―筆者の心からの願いが伝わってきます。

 (定価1900円+税、北斗書房 TEL03―3674―5244)

(新聞「農民」2007.6.25付)
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2007年6月

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