「農民」記事データベース20070611-783-04

国際フォーラム
パネリストの報告から


自給率を向上し食料の安定確保こそ重要

全大阪消費者団体連絡会事務局長 飯田秀男さん

 自由貿易の促進は、日本に何をもたらしたでしょうか。食料の大量輸入によって、私たちの食生活が激変したのはご承知のとおりです。

 私たちの食卓は加工食品が六二%を占め、生鮮食品はわずか八%です。それによって日本人は、一年間で平均二十四キロも食品添加物を体内に取り込んでいます。

 食料の輸入は年間三千四百万トン、百八十六万件に達します。これを三百三十四人の衛生監視員が検疫をおこなうのですから、いちいち全部見ていられないのは当然です。

 輸入によって食料を安く手に入れられるようになり、消費者は利益を得たという意見があります。しかし私は、これは砂上の楼閣だと思っています。

 理由は、これによって私たち消費者は常に食の不安にさいなまれ、そして国内農業が窮地に追いやられているからです。特に私たちは遺伝子組み換え食品のモルモットにされています。

 こういう状態を国民はどう考えているのでしょうか。内閣府の調査によると、七割が、四〇%の自給率を「低い」と感じ、将来の食料供給に「不安がある」と答えています。

 国民は、自給率を向上させること、それによって食料の安定確保をはかることを求めています。ここに、日本で食糧主権にもとづく食料・農業政策を確立させる客観的な条件があります。

 一方、これを妨げているのが、政府の規制緩和政策と、日本の農業・食料を犠牲にして恥じない多国籍企業です。

 そのなかで食糧主権を確立するには、政策論だけでなく、実践を広げることが重要です。各地でとりくまれている産直運動をもっと成熟させ、消費者と生産者が心を交換する運動に発展させることが必要だと思います。

 日本で食糧主権を確立することは、国際的にも大きな影響を及ぼします。ともに運動を進めていきましょう。

(新聞「農民」2007.6.11付)
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2007年6月

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