田んぼの生きもの調査生きものにやさしい有機農業山形・おきたま産直センター田植えを目前に控えた山形県南陽市で五月十七日、ことし一回目の「田んぼの生きもの調査」が行われ、生産者、消費者をはじめ、農協、行政関係者ら約六十人が参加。地元のマスコミも多数つめかけ、ラジオで実況中継されるなど、注目を集めました。主催は山形おきたま産直センター(渡沢賢一組合長)、共催はJA全農。
水田にカエル・ドジョウ…いっぱい環境を守り、生態系を支える生きものと共存…調査の目的は、田んぼの現在の状態を正確につかみ、農作業に役立てるとともに、消費者との交流促進、環境保全型農業への理解を深めてもらうことです。主催者あいさつした渡沢組合長は「生きものと共存できる農業技術、生活スタイルが求められている」と調査の意義を強調。JA全農の大村茂さんは、〇五年に全国十五産地で始まった同調査は、昨年十五道県四十三産地に広がり、今年は百産地を超えることが見込まれると報告しました。 害虫を食べ、鳥類のエサになるなど田んぼの生態系を支えるカエル、ふんで雑草を生えにくくするイトミミズなど、田んぼの生きものの働きを、センター青年部の渡沢寿さんが紹介しました。 参加者は、渡沢さんが有機農法でコシヒカリを栽培している田んぼ(約三十五アール)へ。冬の間も田に水を張る“雪みず田んぼ”は、微生物が豊富で、生きものをはぐくむ米作りに役立っています。
農業高校の生徒も三つの班に分かれて調査を開始。あぜ道を歩き、田んぼの中に足を踏み入れながら、田んぼの周りのカエル、ビオトープ(ため池)・排水路の生きもの、田んぼの中のイトミミズを採取しました。アマガエル、トノサマガエル、ツチガエルなどカエルが豊富で、そのほかドジョウ、タイコウチ、ドブシジミ、オケラなどを確認しました。 調査には地元の置賜農業高校の生徒七人も参加。担当の渡部正宇先生は「水田を取り巻く環境を学び、生きものにやさしい有機農業を理解してもらうため」と参加理由を語ります。三年生の寒河江翔平さんは「学校の中では学べない貴重な体験ができました。今日の経験を生かして、学校生活に生かしていきたい」と話していました。
手間がかかっても今年から就農したセンター組合員の島崎真人さん(23)=南陽市=は「田んぼにはたくさんの生きものがいるとわかって驚きました。手間がかかっても自然にやさしい農業をしていきたい」と手応えを語っていました。生きものメッセンジャーとして指導に当たった渡沢寿さんは先を見据えます。「『よいことはみんなでやろう』と地域の人たちにもアピールできたのでは。有機農業を広げ、地域の環境を変えるきっかけにしていきたい」。小学生にも参加を呼びかけ、六、七月も実施予定です。
(新聞「農民」2007.6.4付)
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[2007年6月]
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