「農民」記事データベース20070604-782-15

本の紹介

毀された「日本の食」を取り戻す
滝澤昭義・著

「食の乱れ」根源から究明


毀された「日本の食」を取り戻す 元明治大学農学部教授でNPO法人食農研センター理事長の滝澤昭義さんが、「毀 (こわ)された『日本の食』を取り戻す」を出版しました。

 いま、食の乱れについてはさまざまに論じられていますが、「なぜそうなったのか」「だれがそうしたのか」について体系的に書かれた本は、ほとんど見当たりません。たとえば、なぜ米を食べなくなったのか? それは、米を食べなくさせるような「なにか」があったからです。食の乱れは、人間や人間の集団が意図的にかかわって生じた社会現象です。そういう視点から、食の洋風化・アメリカ化は、どのように人間・人間集団がかかわって、どのような経緯で生じたのか、事実に基づいて明らかにすることを試みた本です。

 もう一つの特徴は、「総合食料学」的なアプローチをしている点です。食料は、生産され加工され販売され調理され、そして体の中で消費されるという一貫した流れのなかで、その存在意義があるという立場から論じられています。たとえば、日本人の米離れ・食の洋風化で、日本人の身体にどうように現れているのか、といった分析がなされています。

 そして「日本食を取り戻す」ために、一人一人ができることを提言していますが、その根本には食料自給率の向上をあげています。WTOやEPA・FTAで農産物の自由化をいっそう促進しようとしている政府に対し、食糧主権の確立を呼びかけています。

 いま全国食健連は、食料自給率の向上署名を呼びかけていますが、この運動を進める上でも、この本は必携の学習の書といえます。

 定価 1800円+税 筑波書房 TEL03(3267)8599

(新聞「農民」2007.6.4付)
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2007年6月

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