ニュージーランド産
りんご輸入解禁やめよ
農水省が公聴会
関連/「農地・水・環境」で県と交渉
不安・不信の意見続出
生産者、農協、県担当者、学者から
農水省は五月二十二日、東京・千代田区で、ニュージーランド産りんごの生果実を全品種にわたって輸入解禁を認めることについて、一般から意見を聞く公聴会を開き、りんご生産者や農協、県担当者、学者など十四人が意見を述べました。(写真〈写真はありません〉)
このうち十人が、火傷病や害虫コドリンガに対する検疫措置が緩和されることや侵入した場合の危機管理、国の責任などを理由に、輸入解禁に反対しました。農水省が十五日に青森県弘前市で開いた説明会でも、りんご生産者などから不信や不安が噴出。しかし農水省は、早ければ六月中にも植物防疫法施行規則を改定して、輸入解禁に踏み切る見通しです。
“火傷病阻止の保障ない”弘前大の宇野教授が指摘
ニュージーランドのりんご生産や病虫害防除などを現地視察した弘前大学の宇野忠義教授は、この日の公聴会で「ニュージーランドでは、生産が放棄されたりんご園が増加していることや減農薬・オーガニック栽培への移行などで、防除が十分行き届いているのか、懸念された。今回の緩和措置の根源には、WTOの紛争解決機関の勧告を踏まえた『アメリカ産りんご火傷病の検疫緩和措置』があるが、これには納得できる説明は何もなされておらず、火傷病の侵入を阻止できる保障はない。また、万一侵入した場合の『防疫指針』などの危機管理や生産者への補償などの対策は、ドイツなどと比べてもきわめて不十分」と述べ、輸入解禁に強く反対しました。
岡山農民連
農水省は本年度から、新たな対策として、農地・水・環境保全向上対策を実施しようとしています。県内でも、農家や農業組織が各地で説明会に参加していますが、県の財政支援措置などに多くの疑問が出されています。岡山県農民連は四月二十七日、取り組みの状況や財政支援などについて対県交渉をおこないました。
農林部長らは、八月いっぱいまで期限を延期して説明会を全県的におこなうことや財政的には充分確保していると説明しましたが、各地の説明会で「国の実施要綱の条件よりも県は厳しい基準を設けている」との声が上がっているとの指摘も出されました。
また、農水省の“完全自由化で食料自給率は一二%”との試算に対し、県が地産地消とあわせ食糧主権の立場から県内の農産物の育成・販売、消費地域への働きかけなど地域・自治体ぐるみの農業政策を進めるよう、申し入れました。これに対して県側は、自給率向上の目標を品目別・地域別に把握しながら、県産のPRやフェアなど具体的に対応していくと約束しました。
(岡山県農民連 橋本潤)
(新聞「農民」2007.6.4付)
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