高すぎて払えない保険料
いのち守る国保改善の大運動を〈上〉
中央社保協交流会での 相野谷安孝事務局次長の報告
中央社会保障推進協議会主催の国保改善運動全国交流集会が、五月十二日、東京・板橋区で開催され、約百九十人が参加しました。中央社保協の相野谷安孝事務局次長(写真〈写真はありません〉)が行った報告の一部を紹介します。
国民健康保険は、およそ五千万人が加入する日本一の公的医療保険です。憲法二五条の生存権を具体化した国保は、日本の誇るべき国民皆保険制度の土台です。最大のポイントは、国民が安心して医療を受けられるようにすることです。国保法第一条は、その目的を「社会保障及び国民保健の向上に寄与する」ことを明確にしていますが、本来の役割に逆行する事態がすすんでいます。
かつて国保財政の半分を占めていた国庫負担が三割前後にまで切り下げられ、大企業のリストラなどを反映して加入者のなかで低所得者の割合が増えた結果、所得の低い人に重い保険料の負担がのしかかる仕組みがつくられてしまいました。これでは保険料が払えない人が増えるのは当然です。実に五世帯に一世帯が滞納するという異常事態の根本原因は、高すぎて払えない国保料にあります。
滞納が続くと保険証を取り上げられます。全日本民医連の調査では、保険証を取り上げられ手遅れで死亡した人が、〇五年と〇六年の二年間で少なくとも二十九人いることが判明しました。大阪・守口市の例では、所得二百八十万円の四人家族が、国保料五十三万円、介護保険料九万円、国民年民三十四万円に達し、税金を払う前に所得が二百万円を下回っています。まさに、国保料などがワーキングプアを生み出しているのです。
昨年末に放映されたNHKスペシャル「もう医療にかかれない ゆきづまる国保」では、厚労省の国保を担当する課長補佐が「負担した人だけに給付がある」「そこに参加していない人は基本的にその恩恵は受けられない」「一銭も払えない人は対象にしていない、助け合いの制度だからありえない」と豪語しました。医療を受ける権利を「恩恵」などと言うこと自体が大間違いです。こうした「相互扶助」「助け合い制度」という主張は、自治体の担当者からも繰り返し飛び出します。国民健康保険は社会保障制度だということを再確認することが必要になっています。
(つづく)
(新聞「農民」2007.6.4付)
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