「農民」記事データベース20070528-781-12

旬の味


 政府は姑息(こそく)にも、オーストラリアとのFTA・EPA交渉を参議院選挙が終わる七月末から本格化させるという▼豪州の一戸あたり耕作面積は、日本の千九百倍。農水省が強引に推し進めている品目横断対策の規模は、農家で四ヘクタール以上、集落営農でさえ二十ヘクタール以上だ。世界で一、二位の生産性の高さをもってしても客観的な数量の差は埋めようがない▼数年前に農水省が発行した認定農家促進を目的にした「宣伝リーフ」に、埼玉の養豚農家、白石光江さん(70)が紹介されている。白石さんは、幻の豚といわれる中ヨークシャーを年間五百頭飼育している専業農家だ▼規模は決して大きくないが、自家配合飼料に稲わら、青物に納豆菌、ビール酵母、そして乳酸菌を加え、丈夫で肉質の良い養豚農家として農水大臣賞も受けている▼こうした農家をつぶす気か。干ばつやエタノール生産などで、世界的に食料が不足している。政府は参議院選挙のあるなしにかかわらず、日豪FTA・EPA交渉を中止すべきだ。

(慎)

(新聞「農民」2007.5.28付)
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2007年5月

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