「人の移動」要件を緩和日タイEPAの問題点〈下〉条約違反の廃棄物輸出
タイの伝統舞踊・料理の指導者…日タイEPAでは、人の移動についても規制緩和が約束されています。日本からタイへの移動については、進出企業を中心に、現在でも常時三万六千人の日本人がタイ国内に在留しており、就労目的の在留許可要件の緩和、就労に係る手続きの簡素化などが合意され、企業当たり労働許可発行数の上限などについては、継続協議とされています。タイから日本への人の移動については、タイ料理人の入国要件緩和(実務経験十年以上を五年以上に)、タイの伝統舞踊、音楽、料理、ボクシングなどの指導者の入国・一時滞在についての要件緩和などが合意され、タイ・スパ・セラピストと介護福祉士の受け入れについては継続協議とされました。
日本から無税で廃棄物を“輸出”タイ国内はもちろん、国際的な環境問題NGOからも強く撤回要求が出された日本からの廃棄物輸出については、原案通 り、何の手直しもなく、またタイ国内での反対運動に、タイ政府が日本政府に要求したという付属文書による「日本政府はタイへの有害廃棄物輸出を推進する意図はない」という確認も、結局、用意はされたものの最終的には添付されることなく調印が行われました。
この廃棄物に関する関税撤廃のリストは、外務省が公表した和文テキストからは除外されており、英文テキストにだけ掲載されていて、その概要は、別 表のとおりです。この表からも有害廃棄物、とくに使用済み原子炉用放射性燃料カートリッジや医療廃棄物などまでが日本からタイへ「輸出」される道が開かれていることがわかります。フィリピンとのEPAにつづくこのバーゼル条約など国際法違反の暴挙には、日本へのさらなる国際的批判が高まることは避けられません。 (山本博史) (おわり)
(新聞「農民」2007.5.28付)
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[2007年5月]
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