生産者と消費者と手を結べば
夢が大きく広がる直売所
ふるさとネットワーク
第2回直売所交流会
和歌山・紀の川市
緑豊かな紀の川沿いの地、和歌山県紀の川市で四月二十六、二十七の両日開かれた第二回直売所交流会。北は青森から南は沖縄まで八十四人が参加し、女性が六割を占めました。各地の直売所、産直、地産地消の取り組みを交流し、生産者と消費者が手をつなげば夢が大きく広がる集いになりました。主催は、農民連ふるさとネットワーク。
直売所・産直・地産地消の取り組み交流
地産地消を軸に多様な活動
注目あびた紀ノ川農協の報告
直売所の基本的考え方を報告
粉河ふるさとセンターで行われた交流会では、紀ノ川農協の宇田篤弘組合長の歓迎あいさつに続き、ふるさとネットの堂前貢代表が「政府・財界がめざすのは、日本を農のない国にすることだ」と厳しく批判し、その流れに抗する直売所の役割を指摘。直売所の発展にとって、生産者の組織化が必要だと訴えました。
紀ノ川農協を紹介した松本和広専務は、年間を通して、野菜、果物が流通する利点を生かし、生協産直、直売所、スーパーでのインショップなど取引先が多様化している現状をのべました。
紀ノ川農協の地産地消を軸にした多様な取り組みの報告は、参加者の大きな注目を浴びました。紀ノ川農協の直売所「ファーマーズ・マーケット紀ノ川『ふうの丘』」を紹介した直売所部会の岩本岩男部会長は、自然環境にめぐまれ、幅広い農産物を生産でき、大消費地・大阪にも近いという長所を強調。(1)地産地消(2)安全・安心(3)環境保全型農業―という直売所の基本的考えを語りました。
環境保全の実践について、市環境保全型農業グループの畑敏之会長が、有機農業の実践とまちづくりを結びつけて発展してきた同グループの取り組みを報告。地元の小学校で、農作物を育てる体験を通じて食育と交流を実践しています。栄養士、調理師との日常的な話し合いを通じて、学校給食にも深くかかわり、現在では給食に六十品目を超える農産物を供給しているとのべました。
伊都農民組合の中岡勝之組合長は、四店舗に広がった地元スーパーとのインショップの実践を紹介。早朝と昼の二回に分けて新鮮な野菜を並べ、月一回の定例会を運営し、売り上げベストテン発表、反省会などをほぼ全員出席で行っています。
新規就農者として発言した伊都とれたての会の西尾俊哉さん。自動車整備士として働いていた三年前に交通事故に遭い、仕事に復帰することが困難になったことから有機野菜作りを勧められました。自然環境に左右される農業の厳しさに四苦八苦しながらも農業を続け、今後商品のブランド化、一年を通しての安定供給をめざし、「情熱を持って取り組みたい」と決意表明、大きな拍手が送られました。
生産者の組織化こそ発展の道
朝市で地域のお年寄りが元気に
交流会では、各地の直売所の取り組みが語られました。千葉・斉藤教子さんは、「ここでおいしい野菜を食べたいから」と近くに家を購入した人も現れるなど、五年前に設置した直売所が地域とともに育っていることを報告。学童農園で親と子どもがふれあい、「料理教室もやりたいね」と世代を超えたつながりが生まれ、「直売所を続けていけば、夢が大きく広がる」と呼びかけました。
奈良・森口いち代さんは、朝市を通じて、地域の高齢者が元気になっていると発言。細々とやっていた商店の七十八歳のおばあちゃんに呼びかけて朝市を始めたら、お年寄りたちが「ここに来ればみんなに会える」と待っていたように集まっています。「もう閉めようかと思っていたが、もっとがんばらなあかん」と地域の年寄りの力になっていてうれしいと報告しました。
農民連ふるさとネットワークの横山昭三事務局次長は「大手流通が広がっているもとで、地産地消の取り組み、要求も強まっている。国際的にも日本の産直、地産地消が注目を浴びている。みなさんの取り組みが自給率を高め、食糧主権を守ることにつながる」と結びました。
直売所・インショップなど視察
参加者は、「ふうの丘」、売り上げ日本一といわれるJA紀の里のファーマーズマーケット「めっけもん広場」、スーパー松源のインショップなどの視察、見学を行いました。
スーパー松源粉河店のインショップは、伊都農民組合会員の新鮮な採れたて野菜が並び、「集客力が上がってきた」とスーパーのなかでも評判です。
懇親会では、地元・紀の川の料理を味わいながら、沖縄のパイン、徳島のニンジン、愛知のシフォンケーキなど持ち寄った特産品、産直品の紹介、試食を楽しみました。懇親会後の女性部の交流会では、参加者全員が地域の取り組みや産直、直売所に寄せる思いを発言し、親ぼくを深めました。
(新聞「農民」2007.5.21付)
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