「農民」記事データベース20070416-776-01

GM(遺伝子組み換え)ナタネがみつかった

遺伝子組換えナタネ調査隊
市民のみなさんと共同調査

 採取したナタネから遺伝子組み換え(GM)が検出されました。農民連食品分析センターの遺伝子組換えナタネ調査隊は三月三十日、静岡市の清水港周辺で、生活クラブ生協静岡の静清センター組合員のみなさんとともに、遺伝子組み換えナタネ自生の共同調査を行い、「監視活動を引き続き強めよう」の思いを新たにしました。


静岡市清水港・隣接工場の周辺

現地で簡易試験 GMを検出

“監視もっと強めないと…”

 目光らせながら

 今回の調査隊メンバーは、分析センターの八田純人さん、泉潤さん、千葉県農民連の小林千佳子さん、そして新聞「農民」編集部の勝又真史。午前中の暴風雨から一転し、青く澄み渡った晴天のもと、昼過ぎに清水港に到着。最初に、貨物船が接岸し、トラックの出入りが激しい港の様子を下調べしました。

 クラブ生協の静清センター事務所で打ち合わせ後、組合員のみなさん七人と調査に出発。港に到着後は、二手に分かれて調査を開始しました。

 港に隣接する製油・飼料会社や製粉会社の周辺、トラックの往来が激しい国道沿いなどに目を光らせながら、徒歩で移動しました。とくに工場周辺は、会社による抜き取り作業などの対策がとられているとみられ、きれいに整備されていました。

 しかし、そんななかでも、工場脇や国道沿いなどに一本だけぽつんと生えているのを発見、抜き取りました。一時間ほどの調査でナタネを四本採取しました。

 参加者は、事務所に戻って検査キットを使って簡易試験。採取した四本のナタネの葉を、それぞれチューブに入れ、蒸留水を加えて、すりつぶします。

 引き続き調査を

 GMナタネは大きく分けると、除草剤ラウンドアップ(成分名グリホサート)を散布しても枯れにくくなる耐性遺伝子を組み込んだタイプと、除草剤バスタ(成分名グルホシネート)を散布しても枯れにくくなる耐性遺伝子を組み込んだタイプの二つになります。

 最初に抽出液に、グリホサート耐性遺伝子検出用の試験紙を浸します。数分たつと、抽出液が試験紙に浸透し、四本のナタネのうち二本に赤い線が二つ現れました。二本線がでると遺伝子組み換えです。「半分が遺伝子組み換えとは…」と心配の声が聞かれました。

 次にグルホシネート耐性遺伝子検出用の試験紙で検査。四本中一本から二本線が現れGMを検出、驚きの声があがりました。

 生活クラブ生協の田辺直恵さんは「昨年も一本検出されましたが、きょうみたいにたくさん見つかるとは…。もっと監視を強めなければと思いました。引き続き調査を行っていきます」と気を引き締めていました。

 港から遠い地で

 調査隊は翌三十一日も港周辺を独自に調査し、七本採取しましたが、GMは検出されませんでした。初めて調査隊に参加した小林千佳子さんは「一本だけ生えているのを見て、あやしいと思いましたが、遺伝子組み換えだったとは…。地元の消費者の人たちにも呼びかけて、一緒に調査活動ができればいいですね」と話していました。

 分析センターの八田さんは「会社がこぼれ落ち対策をとっているにもかかわらず、検出されたのは管理に限界があるのではないでしょうか。トラックでの運搬によるこぼれ落ちで、港から離れた内陸部などの思いも寄らない地点でも、自生が広がっていないか心配です。監視活動を引き続き強めることが必要です」と指摘します。


日本の食卓にGMナタネ65%以上も

 港に隣接する製油会社J社のホームページには「当社では、国が認めたこれら(大豆、なたね、とうもろこし、わた)の植物油の原料を、海外から輸入しています。遺伝子組み換え作物と、従来からの遺伝子組み換えではない作物とを区別せずに扱われている、遺伝子組み換え不分別の作物を使用しています」と書かれ、遺伝子組み換えナタネ混入を容認しています。

 同社のナタネは、カナダ産とオーストラリア産。日本は、ナタネの八五・三%(二〇〇六年)を、GMナタネの作付割合が七七%を占めるカナダから輸入しています。日本のナタネ自給率は〇・一%にすぎず、マーガリン、ナタネ油などとしてGMナタネが日本人の食卓に上る割合は六五%以上ということになります。

 油脂は、遺伝子組み換えの表示が義務づけられておらず、私たちは、知らないうちに、GM食品を口にしているのです。


あなたも調査に参加してみませんか

 遺伝子組換えナタネ調査隊は三月三日に、千葉中央港にでかけ調査。二十五本採取し、十二本からGMナタネを検出しました。

 引き続き、一般の方の調査への参加を呼びかけています。あなたの周りに生えているナタネを調べてみませんか?

 検査代金は、送料込みで千円(検査キット一回分)です。

 申し込みされる方は、郵便、電話・ファクス、メールで。郵便振替による振り込みを確認後、折り返し簡易検 査キット、検査マニュアルなどを送ります。

 郵便振替口座は次の通りです。

 「農民運動全国連合会分析センター」00160―6―773542(通信欄にナタネ係とお書きください)

 〒173―0025、東京都板橋区熊野町47の11
 農民連食品分析センター「ナタネ調査隊」
 TEL・FAX 03(3959)5660
 Eメール natane@earlybirds.ddo.jp
 遺伝子組換えナタネ調査隊のホームページ http://earlybirds.ddo.jp/natane/

(新聞「農民」2007.4.16付)
ライン

2007年4月

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