鳥インフルエンザ
機敏な対応、近隣への感染防ぐ
地鶏・地卵、加工施設 補償対象外に
宮 崎
関連/“対策強化”を強く求める
宮崎県清武町、日向市、新富町で発生した鳥インフルエンザ(高病原性鳥インフルエンザ)。二月四、五の両日に行われた日本共産党国会議員団の現地調査に同行した村尻勝信さん(農民連副会長)のリポートです。
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宮崎県は全国一のブロイラー生産県ですが、改めてその規模の大きさに驚きました。全国平均の一農場あたりの飼養羽数は四万羽ですが、宮崎県は十万羽規模の経営がほとんどで、その大部分が丸紅など商社系のインテグレーションです。
発生農場から通報が早く、機敏な対応が取られ、近隣への感染を防ぐことができました。しかし移動制限区域の設定で、半径十キロメートル内の移動が禁止されたため、被害は甚大なものになっています。その主なものは、(1)鳥が大きくなりすぎて商品価値が低下(2)飼料代、電気・ガス代がかさみ、経営が圧迫(3)風評被害による販売の低下(4)食肉鶏卵加工場の操業停止による損失など。
また、家畜伝染病予防法の問題点も明らかになってきました。それは、(1)生産者への補償基準が全国のブロイラー価格、卵価格なため、宮崎の地鶏や地卵は補償の対象外(2)インテグレーションは生産・加工・流通を一つに結びつけた体系で、加工施設への補償も対象外(3)対象農家を抱える自治体への補助を明確にすべきです。
ある農家は、二万羽規模の鶏舎に八千万円の投資をして、「明日出荷という前日に出荷停止になった」と途方にくれていました。ところが商社は「痛くもかゆくもない」のが実態です。
埼玉農民連 要望書提出し県交渉
埼玉農民連は二月六日、渡り鳥によるウイルスの持ち込みの可能性が強まったと報道されていることから、県知事に対し七項目の「鳥インフルエンザ対策の強化を求める要望書」を提出し、県交渉を行いました。(写真〈写真はありません〉)
県からは、食品安全局の中村茂唯局長や農林部の小林正雄副部長らが出席。農民連から立石昌義会長代理はじめ役員らが参加しました。
県側は「千羽以上飼育している養鶏場については、定期的に抗体検査などを実施して安全対策を行っている」「百人の食品表示調査員が、風評被害防止に不適切な表示がないかをチェックしている」「防鳥ネット購入には半分助成して支援している」などと回答。人への感染を防止するよう求めたのに対して、「予防薬タミフル五十八万人分を備蓄している」とのこと。
埼玉県ではブロイラーは少なく、採卵鶏が主で三百四十五万羽が飼育されています。いまのところ卵の売れ行きに影響は出ていませんが、万全の支援策を行うよう強く要望しました。
(埼玉農民連 松本慎一)
(新聞「農民」2007.2.26付)
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