地産地消国際シンポジウム地域に根付いたフードシステムを築くアメリカのレッドモンドさんの発言(社)国際農業者交流協会が主催する地産地消国際シンポジウム「豊かな食文化の再発見〜地産地消の新たな展開を求めて〜」が、一月十一日、東京都内で開かれました。このなかで、「地域に根付いたフードシステムを築く」と題して講演したアメリカのジュディス・レッドモンドさん(農家とともに支える地域社会同盟=CAFF会長)の発言を紹介します。
アメリカ政府の農業政策は、輸出する農産物に対する補助金しかありません。私の住んでいるカリフォルニアは、一年中あらゆるものが生産できるのに、外国から輸入しています。それも農薬や化学肥料が大量に使用された農産物を。加工・流通・販売は、ほんの一部の企業に握られています。たとえば牛や豚の処理は四社に集中し、小売りは大手十社が全体の半分のシェアを占めています。企業の論理が貫かれ、企業が求める品種しか生産できなくなり、食の安全に懸念が生じています。農家は、農産物を販売してくれる企業に持っていかなければ売ることができません。消費者は、ジャンクフードばかりで、新鮮な食材が手に入りません。しかし政府は、これまでの農業政策を変えようとはしません。 一方、生産者や消費者は、新しい道を探ろうとしています。それが、「農家とともに支える地域社会同盟=CAFF」が取り組んでいる地域支援型農業です。その目的は、家族農業経営を守り、地域密着型でお金の流れを地域内にとどめようというチャレンジです。生産者が主体となって、地元のレストランや食料店、さらには学校給食や病院給食に直接、農薬や化学肥料の使用を抑えた有機農産物を供給し、直売所(ファーマーズ)で直接販売しています。直売所は、カリフォルニアだけで五百カ所を超えています。こうしたところに供給される農産物には、「BUY FRESH、BUY LOCAL」のロゴマークが付けられています。 もう一つは、年間を通じて、旬のものをボックスに詰め込んで会員の家庭に直接届けています。いま、会員数は九百人を超え、さらに広がりをみせています。一ボックスの値段は日本円で約千七百五十円、野菜のほかにフルーツや花、ハーブなども入っていて、かならずメモを入れています。そこには、農産物の生育状況や料理レシピなどが書かれています。また会員との間で、農場ツアーや収穫祭といった交流も広がっています。 こうした地域に根ざした生産者と消費者のつながりが、農業を活力あるものにしています。
(新聞「農民」2007.2.12付)
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[2007年2月]
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