「農民」記事データベース20070212-767-04

大会の発言から


増産意欲をそぐ品目横断対策の中止求める

北海道 山川秀正さん

 品目横断対策のモデルと言われる北海道・十勝で、この対策が農家の経営に及ぼす影響について発言します。

 農協の試算では、この対策の導入によって五〜七%の減収になります。十勝の農家の売り上げは平均で三千五百万円ですから、約二百五十万円の減収。一年間の生活費が丸々消えてしまう―そんな対策がいま始まろうとしています。

 さらに私の音更町では二十七戸が対策の対象から外れます。支援がなくなると、小麦などの手取りは約半分になってしまいます。この中には農民連の組合員もいて、これからどうやって経営を続けていくかという相談を受けているところです。

 しかもこの対策では、過去の生産実績のない農地は支援の対象外になるので、農家の増産意欲をそぎ、自給率の向上にもつながりません。私たちは、生産実績のない農地にも対策をおこなうよう、強く求めてきました。ある程度の改善がはかられましたが、基本はやはりこの対策では農家はやっていけないし、自給率の向上にもつながらないということです。

 私たちは、「ものを作ってこそ農民」というスタンスで、一人の離農者も出さないことを最重点に、制度のさらなる改善とともに、対策の中止を求めていきます。

営農組合が必ず農地を守って取り組むと確信

滋賀県 北村富生さん

 集落の水田はどんなことがあっても守ると決意し、活動している集落の営農組合のとりくみについて発言します。

 私の集落(長浜市)は二年前から減反を返上しています。なぜなら、米価が下がる一方だからです。一昨年の総会で「集落での減反達成には責任を負いかねます」と決議し、市長に通告しました。

 農地・水・環境保全対策の問題でも、減反未達成の農家は参加させないということが伝わってきて、さっそく県に問い合わせし、市に抗議して、減反を条件にしないと回答させました。

 私の市には約三千ヘクタールの水田がありますが、基幹的農業従事者はわずか五百八十四人です。十年後にはおそらく半数に減るでしょう。こうした中で、私の集落では青年が集落営農に参加するようになってきました。

 これまでの反省は、営農組合が、集落の農地の大部分を耕作から販売まで請け負ってきたことです。一部の人に負担がかかることもあって、田んぼを地権者に返し、草刈りや水管理は自らやり、春と秋に一日でも田んぼに出てもらうことにしました。すると、若い人が自分の田んぼに責任を持つようになり、営農組合を中心に農地を守ろうという機運も高まってきました。

 これは農水省の描く方向とは反対ですが、これこそが集落の農業を守る道だと確信しています。

(新聞「農民」2007.2.12付)
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2007年2月

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