「農民」記事データベース20070212-767-01

遺伝子組み換え(GM)食品 食べたくない

もっともっと作ろう国産大豆

消費者の買い支えが大事

 「遺伝子組み換え(GM)食品は食べたくない」という消費者と、「安全でおいしい農産物を食べてもらいたい」という生産者が手を結び、国産大豆生産を高めようと始まった大豆畑トラスト運動。九回目の全国交流集会が一月三十日、都内の三軒茶屋キャロットタワーで開かれ、約八十人が集いました。主催は「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」です。


第9回大豆畑トラスト運動全国交流会

 昼食は、生活クラブ生協の「食のコンシェルジュ」による料理実演と、トラスト生産地のみなさんによる手作り料理で交流会。大豆ハンバーグ、大豆ドライカレー、豆腐コロッケ、豆乳抹茶ババロアなど大豆料理のレパートリーの多さに驚きの声をあげながら、「大豆カフェ」のひと時を楽しんでいました。

 午後からの講演では、食と自然に目を向けるホールフードスクールを主宰するタカコ・ナカムラさんが、生活、くらし、農業、環境など全体に目を向ける必要性を指摘。「安全でおいしいものを作ってくれる人がいるからこそ、健康な生活ができる」とのべ、「農家に作り続けてもらうために、消費者は、安全でおいしい農産物を買い続け、農家を支えること」だと呼びかけました。

 年々ふえるGM大豆の生産面積

 遺伝子組み換え食品と大豆の現状について報告した「キャンペーン」代表の天笠啓祐さんは、世界でGM作付け面積が拡大するもとで、食物や家畜の飼料、バイオ燃料の原料として大豆やトウモロコシなど穀物の需要が増えていると指摘。GM大豆の生産面積が年々増え、ブラジルでは四割、アルゼンチンではほぼ一〇〇%、アメリカでは九割がGMであり、さらに熱帯雨林を伐採して大豆畑に変えたことによって、環境破壊が起きている例を紹介しました。

 午後からは生産地からの報告。大豆菓子やきな粉棒など街の駄菓子屋と結んで運動に取り組んできた茨城・県南農民組合の小林恭子さんは、農業や大豆を取り巻く現在の状況を解説。小規模農家を切り捨てる品目横断対策の実施や大豆交付金の廃止による自給率低下への懸念を表明したうえで、その背景に、WTO・FTAによる自由貿易化の流れがあり、自国の農業・食料を守る食糧主権確立の必要性を強調しました。

 第一回から取り組んでいる千葉・東総農民センターの寺本幸一さんは、荒れた土地を大豆畑に変え、九年間取り組んできた経緯を語り、「みなさんが買い支えてくれることが大事。農業に定年はない。あと二十年はがんばる。ぜひ畑に来て下さい」と呼びかけました。

 「農家は、トラストがあるから大豆を作り続けられる」と発言した新潟・栄町大豆トラストの味岡久美子さんは、娘の瞳さん(28)と参加。トラスト参加者が高齢化するなか「娘にも参加してほしい」と期待をのべると、瞳さんは「ナカムラさんの言うように、安全な農産物を買い続けることが自分にできること。友達にも呼びかけて、若い参加者を誘いたい」と応じていました。

 枝豆収穫祭で納豆カレーに挑戦した福岡・みのう農民組合の佐々木督文さんは、地元テレビの中継でトラストが大きく話題になり、県からの補助金で看板やのぼりなどを作製している取り組みを報告しました。

 二年前からトラストに取り組み始めた埼玉・春日部楽農倶楽部の西村正昭さんは、高齢者が農作業で元気になっている例を紹介。「都会の参加者も、大豆が育つ過程を目の当たりにして、農業の大切さを実感する機会になった」とのべました。

 まとめで、天笠さんは「トラスト運動を続け、生産者と消費者がつながることが大豆を守る力になる」と結びました。

(新聞「農民」2007.2.12付)
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2007年2月

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