野菜を産地廃棄 なぜ?
輸入もの急増が原因
ハクサイ、ダイコン、キャベツ
10年間で作付面積が縮小
昨秋は全般的に野菜の価格が暴落し、ハクサイ、ダイコン、キャベツが合わせて約二万二千トンも産地廃棄されました。暖冬が直接の原因ですが、しかし、この三品目はいずれも過去十年間で著しく作付面積が減少しています(キャベツ一四%、ハクサイ二二%、ダイコン二五%の減少=図)。それにもかかわらず、なぜ、価格が暴落するのか―。
原因は輸入の急増です。十年前と比べると〇五年の輸入量は、キャベツで二十一倍、ハクサイ百七十二倍、ダイコン百六十七倍。しかもこれは生鮮品の輸入量で、ハクサイキムチやダイコンの漬物など加工品を含めればさらに数十倍になると見込まれます。
たしかに野菜の作柄は気候に左右され、昔も暴落はありました。そのかわり不作で高騰することもあったのです。しかし今は、不足時には輸入が増え、「安値はあっても高値はない」というのが農家の声。暴落のたびに農家は体力を奪われ、作付けが減っているのです。
箱代や運賃も出ない価格では、農家は出荷できません。少しでも価格が回復すればと畑で野菜をつぶし、最低限の交付金を受け取るのが緊急需給調整(産地廃棄)ですが、加工需要を輸入品にふさがれ、「いくら廃棄しても価格が上向かない」というのも近年の特徴です。
自治体などが必死に国内産地を守ろうしている一方で、政府・与党は「東アジア食品産業構想」を推進するとして五億円以上の予算をつけ、海外進出する企業を応援しようとしています。こうした“逆立ち”を正すことが急がれます。
(新聞「農民」2007.2.5付)
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