「農民」記事データベース20061120-757-10

旬の味


 秋、真っ盛り。四十年前に比べると、お寺のケヤキの紅葉も初霜も十日は遅い。十月末からは、雨が降っても必ずその晩に強い風が吹いて、翌日は午前中に脱穀できた。この節、そういう風も吹かなくなった。地球温暖化はこのように、季節ごとに小さな現象で実感される▼アメリカシロヒトリはクルミに壊滅的打撃を与えた。イネミズゾウムシも帰化害虫だ。輸入自由化の中で日本タンポポが西洋タンポポに駆逐され、えたいの知れない雑草が帰化してのさばり、景観まで損ねた。FTA、品目横断対策でふるさとの原風景はもっと激変するだろう▼作り手がいなくなった農地は暴落して、いい所だけ資本が買い占める。政府はこれを「やる気がある」として援助する。それは、旧ソ連が土地を取り上げてコルホーズにしたのと形や手法こそ違え、本質は同じではないか。この道は「いつか来た道」ではないか▼折しも、佐久市と佐久浅間農協はヨーロッパ視察に旧コルホーズを加えた。亡霊の見学か? 混迷と破たんが目に見える。

(節)

(新聞「農民」2006.11.20付)
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2006年11月

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