「農民」記事データベース20061113-756-10

生ゴミたい肥づくり

埼玉・春日部市

関連/南薩の収穫祭「食のつどい」


材料は学校給食の残りかす、街路樹の枝

農民連提出の請願書を採択 循環型農業展開へ

 埼玉・春日部市の九月定例市議会に、埼玉県農民連春日部支部(白石一夫支部長)が提出した「春日部市の農業振興を求める請願書」が全会一致で採択されました。

 請願の内容は次の二つ。(1)地産地消の観点から市内小・中学校、保育所、市立病院・老人ホームなどの食材に、地元農産物を供給できる生産体制をつくること、(2)学校給食の残さと街路樹のせん定枝でたい肥を作り、環境問題と農業振興をセットにした循環型農業を展開すること―です。

 農民連春日部支部は六年ほど前から、自ら実験も行い、行政が責任を持ってたい肥場を建設するよう要請してきました。二〇〇四年七月には、農民連の提案を受けて、廃棄物対策課の呼びかけでたい肥作りの公開テストを実施。市内二十八校の小・中学校から出た給食残さ約二トン、せん定枝のチップ約一・五トンでたい肥を作りました。これには同課をはじめ、教育委員会や廃棄物運搬業者、農民連も参加。八月下旬にはたい肥が完成し、たい肥の施用テストも約三年間行われました。

 今回の請願の採択は、こうした流れを加速するものです。廃棄物対策課の吉田正広課長は「いろいろと研究してきた中で生ゴミたい肥の有効性を感じています。地球温暖化対策という大きな視点でリサイクル率を上げていきたい」と話します。また、一連のとりくみを通じて、たい肥場の管理運営は農民連が委託を受けるということで話し合われてきました。

 春日部市における学校給食残さの処分費用は、年間約千七百万円です。当面はこの費用で十分、たい肥場を運営できます。多くの農家はたい肥の有効性を知っており、農民連会員のみならず、農家や家庭菜園を楽しんでいる市民からも「たい肥があれば使いたい」と期待されています。

 さらに春日部市のゴミ焼却にともなう炭酸ガスの排出量は年間約十二万七千トンにもなります。炭酸ガスの排出抑制という観点からも、生ゴミをたい肥にして農地に還元する循環型農業の展開は、これからの重要課題です。

(埼玉農民連春日部支部 高橋利男)

農地に還元は環境問題解決にも

農民連春日部支部で生ゴミたい肥を研究してきた佐藤陞(のぼる)さんの話

 「生ゴミには塩分や脂肪が多いので生育障害を起こすのでは」と心配する声がありますが、十アールに三トンほど施肥した私たちの実験では起こしませんでした。たい肥を施した土には微生物が大量に繁殖し、脂肪も微生物のエサになり、やがて作物に吸収されます。有機ゴミをたい肥にして農地に還元することは、今日の環境問題と農業問題を解決するかなめです。


南薩の収穫祭「食のつどい」

鹿児島・南さつま農民組合

ものづくりへ強い思い語り合う

 鹿児島・南さつま農民組合主催による収穫祭「食のつどい」が、十月十三日開かれ、南薩地域の農家、消費者、直売所の経営に携わる人など三十三人が参加。集まった人が、活発に意見を述べ、今後の活動について議論が深まりました。

 下屋一美組合長は、「この地域住民は十万人。このうちの千人に千俵の米を供給したい。組合直営の直売所『薩摩路』をさらに発展させたい」とあいさつしました。

 つづいて、「薩摩路」代表の松山文子さん(県農民連副会長)から米生産農家一人ひとりに米代金の支払いが行われ、大きな拍手が送られました。(写真〈写真はありません〉

 その後の懇親会では、地元で採れた食材で作った料理がテーブルいっぱいに。「薩摩路」でがんばっている浜田たみ子さんは、「高菜の漬物はよく売れました。おいしいお米だと評判が広がり、遠くから買いにきた人もいました」と発言。また、「二ヘクタールは休耕を余儀なくされた。春ソバも植えたい」など、農家の実情やものづくりへの強い思いがこもごも語られました。

(鹿児島県農民連 丸野武人)

(新聞「農民」2006.11.13付)
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2006年11月

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