豆で達者な村づくり〈下〉福島・鮫川村の挑戦
職員自ら大豆栽培・加工研修団塊世代を呼び込む準備も村で通信を発行細かな指導に力担当の農林課は、県の営農普及部の援助も受けて、定期的に「豆で達者な村づくり通信」を発行して、大豆のほ場の準備や苗の移植、栽培管理票の記入などを呼びかけ、七月には村内三カ所で栽培者研修会も開催するなど、細かな指導が欠かせません。さらに職員自ら、豆腐やみそづくりなど大豆加工の技術習得に挑戦しました。農林課の我妻正紀さんは、半年間、東京農業大学の醸造学科に留学。その後も岐阜の豆腐製造メーカーで研修しました。また、土づくりからはじめて、できるだけ農薬を使わず化学肥料を減らした有機野菜づくりに取り組もうと、その指導にあたっているのも、これまでスクールバスの運転手をしていた職員、圓井(つむらい)正男さんです。いま専門家の協力も得て、微生物の力で完全に熟した堆(たい)肥づくりに奮闘中です。
都市と田舎を往来する環境を人口が年々減少している鮫川村では、高齢者の生きがいづくりに成功した「豆で達者な村づくり」の成果を踏まえ、村民の「元気」が集まる「手・まめ・館」を拠点に、団塊世代の退職者を村に呼び込もうと、その準備が進められています。NPOの協力を得て、団塊世代の定住促進をめざす「ふるさと体験学校」や、田舎にも居住を構え、都会と田舎を往来する生活環境を求める「ハーレー風の会」づくりなどです。受け入れの基本は、集落の維持を優先させること。「住宅団地」を整備するのではなく、集落のなかに人と人のつきあい、地域のルールが理解できる人を二、三戸程度入れ、遊休農地などで大豆や野菜を栽培してもらうなど、地域に溶け込める環境作りを進めようというもの。
大卒就農者には奨学金返還免除また、青年後継者を育てるため、大学を卒業して農業に従事すれば返還を免除する奨学金制度(月額五万円支給)も導入しました。いま東京農業大学の学生から「鮫川村で農業をしたい」と申し出があるそうです。「こうした高度な知識を持った若い後継者が集まれば、村は変わる。その後押しをしたい」と、大楽勝弘村長。「合併しなかったから廃れてしまったと言われないような元気のある村にしたい」―これは、村民みんなの願いです。 (おわり)
(新聞「農民」2006.9.25付)
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[2006年9月]
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