農家に語りかけて共感と元気を広
げ、悪政を跳ね返す世論と行動、
会員と「農民」読者を広げよう
二〇〇六年九月 農民連第10回常任委員会
全国の会員のみなさん。新聞「農民」読者のみなさん。
WTOの破たんと食糧主権運動の広がりは希望
自由化万能論を世界と日本の農業・食糧に押しつけ、私たちに塗炭(とたん)の苦しみをもたらしてきたWTO交渉が凍結し、WTO体制そのものが危ぶまれる事態になっています。そして、食糧主権の立場に立った貿易ルールと農政の確立を求める動きが国際的なうねりとなって広がっています。これは「品目横断的経営安定対策」の前提が崩れたことも意味します。
こうした動きは私たちの希望です。この流れを国内外でさらに大きくすることが日本農業の展望を切り開く道であり、今まさにがんばり時です。
食糧主権と農民の願いに背を向ける政府
しかし政府は、こうした動きを無視して「品目横断的経営安定対策」をゴリ押しし、財界の要求を最優先にしてWTO交渉を再開させる動きを強め、「WTOがだめならFTA・EPAだ」とばかりにフィリピンとのEPAに調印し、アジア広域のFTA・EPAを提唱するに至っています。これらは「物と人」の自由化であり、農業だけでなく労働者の雇用と権利、地域経済にも重大な打撃をもたらします。
そして、憲法九条を変えて「海外で戦争できる国」にする動きを強め、今臨時国会で憲法改悪のための国民投票法の制定や教育基本法改悪案の可決をねらっています。
農家の苦悩の広がりと農民連への期待の高まり
今、多数の農家や農協、農業関係者のなかで農政への怒りや不安が噴き出しています。また、今年産米価の下落、高齢者への重税と医療・福祉からの排除などで農家の暮らしの困難が深まり、農協や自治体も悪政への対抗軸を見失う状況が広がっています。
農協との懇談がどこでも歓迎され、地域農業を守る共同が広がり、「準産直米」運動への参加を希望する農協も生まれ、「食糧主権宣言(案)ブックレット」も好評です。また、この間、「農民」読者が短期間に五百人以上増え、八十人の世帯会員と二百人近い団体が加入しました。今、展望をもって情勢に立ち向かっている農民連や新聞「農民」への共感が大きく広がっています。
今こそ、元気な農民連の姿をアピールして果敢に打って出て、農家の暮らしの場面にまで踏み込んで要求をとらえ、農家の生産意欲を引き出して地域を元気にすること、そして農民連への加入と新聞「農民」の購読を呼びかける運動に全力をあげるときです。
第十七回定期大会を成功させて、農家に激励と展望をもたらす四つの運動
来年一月に開催する第十七回定期大会を、運動と組織を前進させて成功させることは、農家への何よりの激励です。農民連常任委員会は、この秋、全国の組織、会員、そして「農民」読者のみなさんが、次の四つの運動に参加することを強く呼びかけます。
(1)「憲法を生かしてこそ農業が守れる」―憲法改悪に反対する国民過半数の世論を農村に広げ、教育基本法改悪や国民投票法制定をやめさせる運動に全力をあげよう。
(2)グリーンウエーブを「WTOから食糧主権へ」をキーワードにとりくみ、農業・食糧、地域を守る共同を広げる。
(3)地域農業を元気にする生産・販売の取り組みをすべての組織、地域で実践しよう。
(4)重税を許さないたたかいをはじめ、多面的要求に基づく運動を前進させ、会員拡大と三万人読者を実現する取り組みに本腰を入れよう。
仲間を広げ、三万人の 「農民」 読者実現を
大会を成功させる保障は、農民連に入ってがんばる農家を増やす会員拡大と、三万人をめざす「農民」読者拡大です。
この間、重税に苦しむ農家が加入し、「もっと早く誘ってほしかった」と述べています。米の販路を模索する農家が、農民連が米屋さんや消費者と力をあわせて販路を切り開いていることを知り、「こういうやり方があったか」と加入しています。
会員を増やすことが要求を実現する力です。目標を決め、「対象者」を出し合って加入を呼びかけましょう。
「農民」読者は農と食を守る世論の力であり、農民連のサポーターです。また、「農民」は農民連を知ってもらう最良のテキストです。農民連が毎週、届ける新聞「農民」の読者が三万人になり、五万人、十万人、数十万人となったら、「食糧主権」を求める力は格段に強まるでしょう。農民連や「ふるさとネットワーク」が広範な国民と結びつき、農産物の多様な販路を切り開くうえでも大きな力になるでしょう。
農民連は、当面の目標である三万人読者を実現するために「千人の拡大チャレンジャー」を募ります。すべての会員のみなさんにチャレンジャーになることを呼びかけます。農民連本部も、全国のみなさんの先頭に立つとともに、より読みやすく親しまれる紙面を作る努力を強めます。
「運動」とは元気と共感を広げること
会員や「農民」読者拡大は、農民連への共感を広げる取り組みです。
全国のすべての組織と会員が、条件を生かして仲間や知り合いに声をかけ、「共感」と「元気」を広げる運動に参加すること呼びかけます。
(新聞「農民」2006.9.25付)
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