「農民」記事データベース20060918-748-10

旬の味


 日本は国土の三分の二を山で覆われ、川は大小合わせるとおよそ三万本あるという。豊かな水をたたえる川は人間だけでなくさまざまな生物の命の源となり、日本農業の発展をも支えてきた▼しかし今年の六月と八月、私の住む地域の川で、あまりにも悲しい事件が繰り返された。川に農薬が流され、おびただしい数の魚が白い腹を見せて死んだのだ。生命が消え、水がただ流れるだけの川の不気味さは言葉では表現できない。水質検査で除草剤が検出された。誰かが残った農薬を川に捨てたか、散布時に使用したタンクやホースを川で洗ったのかもしれない▼さらに恐ろしいことには、この川の下流では子どもを含む多くの人が水浴びをしていたし、地下水は地域のすべての家庭の生活用水にも使われている。ただの不注意では済まされないのだ▼農薬は毒性がとても強いにもかかわらず、簡単に入手して使用できる。「慣れ」からさらなる悲劇を繰り返さないためにも、農薬を扱う農家は気持ちを引き締める必要がある。

(歩)

(新聞「農民」2006.9.18付)
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2006年9月

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