シリーズ 私の食料主権宣言
地産地消で農業のもう一つの流れを長野・信州北部農民組合 山下 富江私は長野市(旧豊野町)でリンゴを主に、巨峰、桃、梨などの果樹を作っている専業農家です。リンゴの価格は、二十五年くらい前、一キロ当たり三百〜四百円の手取りになり、家族六人でまあまあの暮らしができました。しかし今は、百〜百五十円で、七十円くらいのときもあります。これでは農業で暮らしていけません。
食料をもうけ材料にするシステム農産物の生産者価格はこんなに安くなっているのに、消費者価格は安くありません。なぜ、こんな状況が起きているのか。食料をもうけの材料にする流通システムに問題があると思います。スーパーが売らんがために他店と競争して安売りをしかけ、そのつけが農家にしわ寄せされているのです。このような状況のなかで、農民組合として全国の消費者と産直をしたり、リンゴのオーナー制度にとりくんで、がんばっています。また、信州北部農民組合の管内にある六カ所の直売所で、二十四人の女性組合員がその地域で採れたもの――春は菜花、フキ、タラの芽、ワラビ、セリなど、夏はキュウリ、トウモロコシ、茶豆、ナス、ダイコン、そして秋にはリンゴ、梨、巨峰、桃などを、毎日並べて売っています。
生き生きとものを作って農業を守るこのとりくみで、年間二百四十万円くらいの手取りになりました。農協や市場に出荷して、どんな消費者が買ってくれるのかわかない農業ではなく、作ったものに自分で価値をつけて売ることで、今までとは違った農業の楽しさを味わっています。これこそ、「農業のもう一つの流れ」だと感じています。この年齢になると農作業はくたびれます。でも、みんな生き生きと“もの作り”をしています。安全なものを作って消費者に届ける活動をまわりの女性たちにも広げて、農業を守っていきたいと思っています。
「私の食糧主権宣言」というテーマで投稿を募集します。農民連が五月に公表した「食糧主権宣言(案)」を読んでの思いや、身近な出来事、とりくみなどを六百字前後で書いて、新聞「農民」編集部あてに送ってください。送り先は次のとおり。 (新聞「農民」2006.9.11付)
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[2006年9月]
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