「農業環境規範」の名目で
生産者に安全証明押しつけ
真の検査業務確立の道は…
農民連食品分析センターが結成十周年を迎え、その必要性がますます強まっている。
農水省が昨年三月、生産局長名で発表した「環境と調和のとれた農業生産活動規範について」という通達は、「今後農水省が実施する補助金など各種事業は、農業環境規範を実践する農業者のみを対象にする」と明言している。
この「農業環境規範」は、「環境に調和のとれた」とあいまいな表現のまま、具体的な「チェックシート」の作成を、地域に「実情を踏まえて作成しろ」と、丸投げしている。
一方JAは、「安全・安心は消費者の関心が高く、国内農業の発展のカギを握るのは生産履歴の記帳」だとして、直売所も含めてJAが販売する全農産物を対象に、生産履歴の記帳運動を強めている。
さらに農水省は今年三月、「農業環境規範」や「JA生産履歴記帳運動」などを踏まえて、「残留農薬検査システム」を盛り込んだ「食品安全GAP」なる「チェックシートのたたき台」を発表した。そのうえ、ポジティブリスト制の導入を契機に、大手スーパーをはじめとする小売・加工業界が、いっせいに安全性確保の証明を生産者側に求めたため、生産履歴の記帳や残留農薬の検査システム確立の有無が、農産物の評価基準になった。
農民連食品分析センターが、国民の食糧と健康を守り、農業生産に活かせる検査業務を確立するためには、二千万円募金の達成がどうしても必要だ。
(新聞「農民」2006.9.11付)
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