安全・安心、本物の味を消費者に届けたい(2/2)
JA高岡 農業振興に知恵しぼって
朝採れ直売所が盛況
地域の活性化に一役買う
各地で地域活性化のために農協が知恵をしぼっています。富山県高岡市のJA高岡は、野菜・果物・切り花の直売、菜種油、準産直米などの農業振興を通じて地域活性化に貢献しています。
高岡産農産物は、市内四カ所の直売所を中心に、高岡市九、富山市七、氷見市一の計十七カ所のスーパーで販売(インショップ)。インショップ用の作物は、農家が自分で値段をつけ、集荷所に持ち込みます。「朝、一番のものが新鮮だと、お客さんはちゃんとわかっている。喜んで買ってくれるのが何よりもうれしい」。園芸担当の森道生さんは言います。
なかでも直売所の売り上げは、急速に伸びています。朝採れたナスやトマトを直売所「佐野食彩広場」に並べていた園芸農家、岡田幸子さんは「おいしいと言われれば、持ってきたかいがあります」と、消費者との触れ合いを大切にしています。
直売所は午前中、行列ができるほど盛況。売り上げは今や、インショップをしのぐほどです。
七月からは、店舗が撤退するなどして空洞化した高岡駅前地下街で夕市を開催。新鮮な野菜や農産加工品が所狭しと並び、客足を取り戻すのに一役買っています。
市内の戸出地区では特産品として菜の花を栽培。農協が搾油施設を作り、菜種油を販売しています。栽培から搾油、販売まで一貫して行っている全国でも珍しい取り組みです。
特産品の米、コシヒカリは、関東、関西など卸五社を通じて、農民連の準産直米に参加しています。二年前から始まり、量は着実に増えています。
JA高岡の水越久男・営農課長は「農家のみなさんが丹精込めて作った米、本物の味を、消費者と交流しながら届けたい」と語っています。
組合員との結びつきが大事
JA高岡 穴田甚朗組合長の話
米どころの富山で、米も大事だが、野菜や園芸も車の両輪と位置付けてきました。最初は、スーパーへのインショップに取り組みました。地産地消、食の安全の流れの中で、売り上げも順調に伸びてきました。
その後、直売所も設け、昨年の売り上げは一億五千万円に。今年は二億円を目標にしています。野菜や園芸に取り組むようになって、女性が農業に積極的に参加するようになりました。農薬や肥料の価格も安くし、だれでも農業に取り組みやすいようにしました。高岡の農業が変わってきたと実感しています。
昨年三月、市内に四つあった農協を一つにまとめ、富山一大きな農協になりました。しかし、支店の統廃合については、経営健全化を考えつつ、慎重な考えです。農協は組合員との結びつきが大事。組合員のよりどころが目に見えることで、農協への信頼が生まれます。今まで以上に農家に出向くようにしたいと考えています。
富山は、水稲中心ですから、個人の担い手が少ない地域です。すでに存在する機械利用組合を集落営農に育成したいと思います。それができない地域についても、機械作業は農協で行うアグリサポート事業を実施しています。生涯、農業に携わってもらうことが農業振興につながるのです。
農産物の販売では、米の直売に取り組むとともに、地産地消の考え方で、地元の米を地元で食べてもらおうと一昨年、精米所を作りました。「万葉米」として、市内の消費者に売り込みたいと考えています。
(新聞「農民」2006.8.14付)
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