旬の味
石綿被害が農民にまで深刻に広がっている。石綿工場と住宅・農地が混在する大阪泉南地域で工場の元労働者や近隣住民八人が原告団を結成、国の不作為を告発する初の集団訴訟に踏み切った▼原告団の一人、南和子さんは農民組合員だ。専業農家だった父、寛三さんは毎日、三好石綿工場に隣接する田んぼで働いていた。体調を崩した寛三さんは医師から石綿肺と診断され十三年間苦しみ抜いて昨年二月、九十二歳で他界した。死の直前「米や玉ネギを作ってきたわしがなぜ石綿肺を患うのか。三好の工場を呼んでこい」と怒りの声を残して息を引き取ったという▼工場内に充満するじん灰を外に出す集じん機に一番近い田んぼで働いていた奥田千代造さんも農民組合員だ。稲も玉ネギもみんな枯れたと抗議し続けてきた奥田さんもいま胸膜肥厚で病院通いの毎日だ。周辺で耕作していた五人の農民が石綿禍で死亡したという▼企業と国の不作為を追及するこのたたかいを何としても勝利させ、寛三さんらの無念を晴らしたい。 (西)
(新聞「農民」2006.7.31付)
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[2006年7月]
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