合併に打ち勝つには 農協型民主主義は日販連が「農協の明日を切り拓く研究会」本来のあるべき姿について議論
日本販売農業協同組合連合会(日販連)は七月十五、十六の両日、東京・新宿で「農協の明日を切り拓く研究会」を開催しました。農協関係者や研究者、農民連など三十人余りが参加。「協同組合の原点とその農協のあり方」をテーマに、農民連参与の山本博史さん、農民連副会長の堂前貢さん、公認会計士の木村隆一さん、横浜国立大学教授の田代洋一さんの四人がそれぞれ報告した後、参加者を交えて活発に議論しました。(写真〈写真はありません〉)
農協攻撃を解明山本さんは、「農協制度の改変と財界主導型『農協改革』」と題して報告。近年の三度にわたる農協制度「改正」の特徴と問題点を詳しく紹介し、「自主ルール」の押し付けによる信用事業のはく奪や、外部化・会社化による経済事業の合理化を批判。また経済財政諮問会議における財界主導の農協攻撃がどのように仕組まれているかについても、解明しました。堂前さんは、「品目横断対策、集落営農による農家、農村の変化と対応」について、岩手県で進められている集落営農づくりを例に報告。「岩手県は、品目横断対策の『先進県』のように言われているが、実際に訪れた集落営農の実態は違う。対策に乗るかどうかではなく、地域農業をどう守っていくかという視点が大事だ」と述べ、補助金目当てで安易に対策にのることはすべきでないとの見解を示しました。
小さな農協まで木村さんは、「農協への減損会計導入がもたらすものと協同組合論」について報告。「なぜ、小さな農協にまで、国際基準だと言って減損会計を当てはめようとするのか、まったく疑問だ」と切り出し、そのねらいが農協の合併にあることを指摘。「減損会計をクリアするには、赤字を出さないこと。消費者指向に農協の体質を改め、産直を活性化させること」などを提言しました。田代さんは、十月に開かれる全国農協大会の組織協議案をもとに、「農協の組織と事業、意思決定と組合員参加のあり方」について報告。大会案に盛り込まれたリストラ・人件費抑制による減収増産体制や、担い手支援と称した新たな事業方式などを批判。農協のあり方として、総合力を発揮した増収増益路線への転換や農家組合員・地域住民との接点づくりなど農協型民主主義を提起しました。
農協のこと何も参加者からは、「農協の民主主義はどうなっているのか。大会議案は、組合長・理事にも届いていないし、まったく議論もない」「いまの農協は農家のことなど考えていない。生産者価格が下がって農協から資金を借りようとしても農協の都合で貸してくれない」「減損会計は信用事業をしている限り、小規模といえども襲ってくる。それに打ち勝つ経営をなんとしても確立しないといけない」などの意見が出され、本来のあるべき農協について議論しました。
新聞「農民」拡大運動
農民連は、六月末に開いた研究交流集会で、この夏に新聞「農民」読者を五百人増やし、来年の全国大会までに三万部の峰に到達することを確認しました。これにもとづいて各地で奮闘が始まっています。 |
[2006年7月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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