GM汚染の広がり
実態が各地で明らかに
ナタネ自生全国調査の報告会
調査件数は前回の倍近く
11県でGMナタネを検出
「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」は七月八日、都内で遺伝子組み換え(GM)ナタネ自生全国調査の報告会を開き、二百六十人が集いました。(写真〈写真はありません〉)
「キャンペーン」は三月から、全国の消費者、市民、生協組合員らに呼びかけて調査を実施。農民連食品分析センターも独自に調査を行ったほか、一般にも調査への参加を呼びかけてきました。
報告会に先立ち、ロシア科学アカデミー高次機能・神経行動学研究所のイリーナ・エルマコヴァ博士による講演が行われました。
イリーナ博士は、GM大豆、在来大豆、タンパク質分離大豆、大豆由来の添加物が入っていないもの―について、ラットに食べさせる実験を繰り返し、子ラットへの影響を調べました。
GM大豆を食べていたラットの子の死亡率が五〇%以上と高く、生まれてきても体が小さく、体重も軽いという結果を報告。内臓の発育不良を起こすことなどをのべ、「GM食品ががん、不妊、アレルギー、新生児の病気と高い死亡率を引き起こすおそれがある」と指摘しました。
GMナタネ調査は、全国四十三都道府県で取り組まれ、調査件数が、農民連食品分析センター実施分も含めて、二千二百九十五件と前回より倍近く増えたことが報告されました。
そのなかで、十一県でGMナタネが検出され、今まで検出されなかった大分県や、ナタネ輸送路とは関係のない千葉・幕張から検出されるなど、GM汚染が広がっている実態が明らかになりました。
調査参加者の報告では、「調査結果を行政や製油会社などに伝え、対策を働きかけている」(遺伝子組み換え食品を考える中部の会)、「大勢の組合員が参加したことで、GM問題についての理解が進み、社会にたいして問題提起ができた」(生活クラブ生協)などが紹介されました。
さらに「消費者、生産者らが手をつないで『なたね協議会』を設立し、国産ナタネを守ろうと立ち上がった」(米澤製油の安田大三さん)などの力強い報告がありました。
国産ナタネ守り自給率の向上を
分析センターの石黒昌孝所長は、分析センターの調査結果を報告、各団体が力を合わせて調査活動を進める意義を強調。ナタネ交付金が減額されるもとで、「国産のナタネを守り、自給率を上げよう」と呼びかけました。
最後に「キャンペーン」代表の天笠啓祐さんが「自治体に働きかけ、交雑・混入を防ぐ対策をとらせよう。広がっている調査の力を、行政を動かす力にしていきたい」とのべました。
(新聞「農民」2006.7.24付)
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